2013年9月20日金曜日

「現代自動車貴族労組」(3):高収入+定年保障、人気の結婚相手の現代自組合員

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 07:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000033.html

「現代自国内工場の低い生産性、原因は労組代議員」

 現代自動車の工場を訪れると、濃紺のベストを着用して休憩室などを行き来する人々を見掛ける。
 これらの人々が各工場を牛耳っている「現場活動家」の労働組合代議員たちだ。
 蔚山工場の元労組代議員のAさんは
 「工場は代議員たちにとって巨大な政界も同然だ。
 会社も労組執行部も容易に手を出せないのがまさに代議員」
と語る。

 現代自労組に加入している組合員は計4万6000人。
 このうち各工場の組合員たちによる直接選挙で選出された労組代議員は490人にも上る。
 組合員100人に1人の割合で、工場ごとに何人もの代議員が存在する。
 現代自労組を与党に例えると、代議員たちは全国の地方区選出の国会議員に相当する。
 毎年開かれる代議員選挙では、派閥別に候補4、5人が激しい選挙戦を繰り広げる。
 任期は1年。
 蔚山工場には代議員が約250人もいる。

 現代自には、労組の業務だけを行う労組専任者が111人も存在する上、ほかの労組代議員もまともに働かないケースが多いという。
 ある現代自の関係者は
 「工場の生産性を引き下げる本当の原因は労組代議員たちにある」
と言い切った。

■工場内の人事は思いのままに

 世界的な自動車メーカーならどこでも、新車ラインに人材を投入する際には生産に必要な適正人材を定めた「マンアワー(1人の1時間当たりの平均仕事量を表す単位)」標準に従う。
 ところが、韓国国内にある現代自の工場は「マンアワー」標準に従うのではなく、代議員たちが事実上工場内の人事権を牛耳っている。
 会社は新車ラインを新たに構築する際に、該当の工場の代議員たちと、ラインに投入する従業員数について協議する。
 そのたびに、代議員たちは「機能がさらに複雑化して労働の強度が上がった」として人員追加を要求するため、交渉が長引いてしまう。
 これは、新車が発売されるたびに出荷が何カ月も遅れる原因の一つとなっている。
 現代自の関係者は
 「納期に合わせて新車を消費者に引き渡さなければならない会社側としては、代議員たちの機嫌を取るほかない。
 『マンアワー』標準を作成するために労使が共同で外部の諮問委員たちを招いたこともあったが、代議員たちの反対によって白紙化してしまった」
と話す。
 ある元代議員は
 「代議員たちは、従業員の投入人数を標準化すれば、自分たちが既得権を失ってしまうのではないかと恐れている」
と語る。

 代議員は、週末特別勤務の拒否権を行使したり協議を引き延ばしたりする方法で、会社に圧力を加える。
 特別勤務の拒否権は、労組執行部も干渉できない代議員固有の権限だ。
 今年4月には、労使が合意した特別勤務計画を一部の工場の代議員が拒否するという事態も起きた。
 労働組合員たちの間では「週末の特別勤務をしたい」と求める声も多かったが、現代自労組は「特別勤務は工場の代議員固有の権限」とし、譲らなかった。

■まともに仕事せず配置転換も拒否

 このように現代自労組の代議員は、労組執行部も干渉できないくらいに大きな影響力を握っている。
 労組執行部が大まかな方向性は指示するものの、各工場内の労使関係については関与しないのが慣行となっている。
 これは、代議員が、選出された職である上、さまざまな派閥間の力学関係が絡み合っているためだ。

 かつて代議員を経験した従業員は
 「代議員たちは、会社側との会議がある、金属労組の会議に参加する、研究活動をするといった理由で作業を離れるケースが多い。
 にもかかわらず、手当てだけはきちんと受け取っている」
という。
 現代自の関係者は
 「代議員たちは会社が勝手に異動させることもできず、けん制する方法もない」
と話す。

 中には、余裕のあるラインの人員を人手の足りないラインに投入する「配置転換」を拒否する代議員もいる。
 ある元代議員は
 「組合員の立場からすれば不慣れな所で働くのが嫌なのは当然。
 さらに、代議員たちはこれまで育ててきた1票が違うラインに移ってしまうことに賛成できない」
と内部事情に触れた。

 これら代議員に対する労組員たちの考えはどうなのか。
 蔚山工場で出会ったある労組員は
 「勝手に特別勤務を拒否し、作業ラインに姿を見せないのは問題とは思うが、従業員たちの権利を守ってくれている」
と話す。
 現代自の関係者は
 「各派閥と代議員自身の既得権を守るための行動が、工場全体のモラルハザード(道徳的な緩み)を引き起こし、会社の競争力を低下させている」
と嘆いた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 07:35
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000028.html

18億円を牛耳る現代自労組トップ

 現代自動車労組の支部長(委員長)は、約4万6000人の組合員を代表する存在だ。
 組合費、積立金など年間約200億ウォン(約18億円)以上の資金を牛耳っている。

 公式には全国民主労働組合総連盟(民主労総)金属労組の現代自支部長だが、実質的な影響力は上部団体の金属労組委員長よりも大きい。

 現代自労組は毎年、組合費として約110億ウォン(約9億9000万円)以上を金属労組に納め、約半額の約60億ウォン(約5億4000万円)の配分を受け、経費として使っている。
 現代自労組が金属労組に納める組合費は、金属労組の年間予算(約350億ウォン)の30%を占める。
 組合員数でも金属労組全体(15万人)の3分の1に達する。
 このため、現代自労組が金属労組に加入した2006年以降に選出された金属労組委員長3人はいずれも現代自出身だ。

 労組支部長は社内で社長、工場長クラスと交渉を行う。
 対外的には蔚山の地元選出国会議員、市長と対等な立場で交流する。

 現代自関係者は
 「労組支部長は会社が組合に支援した排気量3300CCの乗用車を乗り回している。
 出入り時の検査は免除され、組合員同様にさまざまな手当を含む収入を得ている」
と話した。

 2年ごとに行われる労組支部長選挙は、蔚山工場の有力7派閥が激しい競争を繰り広げる。
 支部長を出した派閥は労組執行部だけでなく、さまざまな委員会の要職を占める。
 各派閥は支部長当選に向け、連携することもある。

 現在のムン・ヨンムン委員長も二つの派閥に推されて当選した。
 次期支部長選挙は早ければ今月末に始まる予定だ。

 1987年に設立されて以降、歴代の現代自労組支部長は11人いる。
 現支部長を除く10人のうち6人は上部団体の金属労組などの中心幹部に就任したり、民主労働党などを通じ政界に進出したりしている。

 労組幹部は事実上観光目的で出国する「外遊疑惑」が指摘されても、結局は職場に復帰できる。
 ある労組員は
 「元支部長は現場に復帰しても、工場ラインでは働かないことが多い」
と述べた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 07:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000030.html

高収入プラス定年保障、結婚相手に申し分ない現代自組合員
多くが地元のスクリーンゴルフ常連客
工場勤務者の入社試験競争率は240倍、定年も保障
結婚相手としても高い人気

 現代自動車の国内工場で働く労働者の数は、今年6月末時点で約6万1000人。
 そのうち76%に当たる4万6000人以上が労働組合に加入している。
 工場勤務の労働者は入社と同時にほぼ全員が組合員資格を持つことになる。
 また、事務系社員の場合は組合員になれるのは課長代理までだが、製造現場の労働者は定年まで組合員資格を持ち続けることができる。

 組合員全体の65%を占める製造現場の労働者は、入社からの平均年数が21年となる47歳前後が最も多く、またほとんどは高卒の男性だ。
 蔚山、牙山、全州など、どの工場も地元の出身者が多くを占める。

 彼らの平均年収は昨年の時点で9400万ウォン(現在のレートで約855万円、以下同じ)。
 これはサムスン電子の平均7000万ウォン(約637万円)やポスコの6000万ウォン(約546万円)を大きく上回るのはもちろん、韓国国内で賃金水準が最も高いとされる韓国輸出入銀行の9300万ウォン(約846万円)や外換銀行の9000万ウォン(約819万円)をも上回る。

 勤続年数が20年以上の組合員は、そのほとんどが現代自の高級セダン「グレンジャー」やスポーツ多目的車(SUV)「サンタフェ」に乗っている。
 経済的に余裕がある上に、会社が勤続年数によって社員向けに車の価格を最大30%まで値引きしてくれるからだ。

 休日も多い。
 現代自では年中行事(旧正月と秋夕〈中秋節〉)や祝祭日が土日と重なった場合、振替休日が与えられる。
 また祝日ではない植木日(4月5日)や制憲節(7月17日)も休みだ。

 午前勤務の場合は朝6時30分から午後3時30分までが勤務時間だ。
 そのため工場周辺のスクリーンゴルフ場は平日の午後から現代自の社員でいつも満員だ。
 工場ごとのスポーツ愛好会も多く、サッカー、バスケットボール、野球はもちろん、中にはゴルフやスキューバダイビングの愛好会もある。

 このように現代自の社員になれば高収入な上に会社からも多くの恩恵が与えられるため、同社への入社は非常に難しい。昨年7月に工場労働者の募集が行われたときには、定員248人に6万人以上の応募があった。競争率は240倍だ。

 現代自の関係者は
 「工場労働者は定年が保障されている上、年収も1億ウォン(約910万円)近いことが広く知られるようになったため、最近は結婚相手としても非常に人気が高くなった」
と述べた。

 組合員の中には工場労働者以外にも研究開発本部所属の社員が5000人ほどいる。
 彼らは主に大学の工学部出身のエンジニアで、京畿道華城市の現代自動車南陽研究所で新車開発業務を担当している。
 ストの投票など重要な意志決定には参加するが、実際にストに加わることはない。




【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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