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朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 06:35
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000013.html
【コラム】韓国人を「カッ」とさせるもの
割り込みや無秩序、うるさい子どもたち
「カッ」となる出来事、大半は解決可能
近所のバス停のすぐ前にベンツが止まった。
一人の男性が出てきてドアをロックし、忙しそうに歩いていった。
バスを待っていた人たちはぽかんと見詰めるだけだった。
そのとき、バス停に近づいてきた老人が声を上げた。
「おい、ここに車を止めたらみんなどうやってバスに乗るんだ」。
驚いた運転手は戻ってきて車を移動させた。
老人は有名な詩人だった。
「空をかじったら雨が降ってきた…」。
心が空のように澄んでいるので、世の中のことにより厳しいのだろうと思った。
数年後、バス停の風景に変化が起きた。
近くの信号機の上に違法駐停車を取り締まる監視カメラが設置された。
停留所の前に駐車する車は減少した。
誰かが知らずに駐車すると、古株の露天商がからかうように「ほら、あそこにカメラがありますよ」と言った。
人の迷惑を顧みない人ほど、自分が金を払うことについては敏感なものだ。
皆慌てて車を移動させる。
システムのおかげで詩人が怒らなくてもよくなった。
衣料品販売のユニクロのレジで次のような光景を見た。
一列に並んで待っているのに、出口から入ってきた夫婦が割り込んだ。
「こちらに並んでいる人がいますよ」とある老人が声を上げた。
驚いた夫婦は移動した。
知らん顔でレジにいた店員はただにっこり笑った。
すると老人は店員に言った。
「今、あなたに注意したんですよ」
客はミスをすることもある。
一列に並ぶことを求めながら客のミスを放置した店員は問題ではないだろうか。
ユニクロは衣類だけでなくサービスも日本のシステムを韓国に輸入した。
日本ではささいな割り込みトラブルでも客に任せておくことはない。
ユニクロは持ち込んだシステムを客に守らせようとしたが、システムの管理法を店員に教育していないようだ。
以前、災害の取材に訪れたときのことだ。
救援物資を求める人たちで現場は大騒ぎとなっていた。
配分方法を決めないまま荷をほどいたためだ。
公務員は腕を組んで見ているだけだった。
このときも老人が出てきた。
「あなたは何をしにきたんだ」。
老人はかっとなり、興奮して胸ぐらをつかんだ。
そこでようやく公務員は皆を列に並ばせ、物資を公正に配分した。
誰かが
「この世の中は怒らないと動かないよ」
と言った。
日本人は怒りをよく我慢するという。
しかし必ずしもそうではない。
東京・渋谷の繁華街は、夜になると酒に酔った人たちで修羅場のように変化していた。
このような地域が7-8年前、警棒を持った近所の老人たちが酔っ払いを叱りながらパトロールすると、様子が変化した。
老人たちが「がんこおやじ」という名前でメディアに紹介されるや、不良青少年はこの地域に足を運ばなくなった。
韓国人はよく怒るという。
しかし必ずしもそうではない。
渋滞で車が列を成しても、横断歩道の真ん中まで車が頭を突っ込んでも、食堂で子どもたちが公園にいるかのように走り回っても、隣家の犬のものと思われるふんが家の前にあっても、こうした問題を処理するべき人たちは遠くの山を眺めているだけでも、「そんなもんだろう」と我慢する忍耐力の持ち主なのではないだろうか。
仙人だけが住むというヒマラヤの労働者も、韓国に来れば怒ってデモをするのだとしたら、これは国民性の問題ではなさそうだ。
「我慢すればがんになる」といわれるが、それほどひどい状況なのだろうか。
マンションの騒音問題で放火や殺人まで犯すおかしな人たちの肩を持つわけではない。
独裁に対する抵抗のように、何らかの巨大悪に向かって憤怒しようというわけでもない。
われわれが1日に何度もカッとなったりいらいらしたりするのは、大部分が意識やシステムを多少修正し、責任者がまめに動いてくれれば解決できるささいな物事なのではないだろうか。
先進国の人たちがカッとならないのは、心が広いからではない。
カッとなるようなことが起きないようシステムを細かく設定し、
細心の注意を払って管理しているからだ。
』
「韓国人には「怒り」を抑える訓練が不足している?」
わけではない。
「先進国の人たちは、カッとしないように細心の注意を払って管理している」
からだ。
考え方としては一理ある。
『
朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 06:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000012.html
逆ギレする生徒に手を焼く教師たち
感情のコントロールができない生徒たち
頭に来て教室を飛び出す
「あんたは○○○だ」
最近ソウル市内のある中学校を訪問した心理治療の専門家が、その日初めて出会った中学生からあいさつ代わりに聞いた暴言だ。
カウンセリング室に集まった生徒は男女合わせて6人。
そのうちの半数以上が「カッ」となると込み上げてくる怒りを抑えることができず、友人を殴ってしまう生徒たちだった。
「専門家の治療を受けなければ退学させる」という学校側の命令でカウンセリング室に集まったものの、自分たちの話を聞いてくれる専門家がカウンセリング室に入って来るやいなや、この言葉が一人の生徒の口を突いて出てきた。
瞬時の怒りを抑えることができず、教師や親、同年代に暴力を振るう子どもたちが増えている。
本紙の取材チームが14-17日、韓国教員団体総連合会に依頼して全国の小中高校の教師594人を対象にアンケート調査を行った結果、回答者の10人に4人がここ1学期間で「瞬時に興奮する生徒たちを見て、『教職を辞めたい』と思ったことがある」と回答(41.1%)していたことが分かった。
この質問に対し、何らストレスを感じないと回答した教師は12.5%にとどまった。
■ボールペンで教師を突き、ドアを壊す
今回の調査で全回答者の約9割が「生徒たちが瞬時に怒りをあらわにする現象が4、5年前に比べて多くなった」と回答(92.6%)した。
専門家たちは
「子どもたちが後先構わず行動を起こしてしまうようになったのは、たまりにたまったストレスと家族構造の変化が絡み合って複合的に現われた現象と見るべきだ」
話す。
昨年11月、京畿道安養市のある中学校の教師が、授業中にうつ伏せになって寝ている2年生の女子生徒を起こした。
この女子生徒は、教師が「起きなさい」と言ったにもかかわらず、構わずに寝ていた。
教師が再び起こしたところ、女子生徒は体を起こしたものの、表情は不平不満でいっぱいだった。
頭に来た教師が、(教室の)後ろで立っているよう言い付けると、女子生徒は教室のドアを「バーン」と閉めて外に出ていってしまった。
そのままトイレに向かった女子生徒は、トイレのドアノブを引き抜いて廊下に投げ付け、ドアを足で蹴飛ばした。
同校の教師は「普段はそんな子ではないのに、突然怒り出した」という。
昨年、京畿道城南市のある中学校の倫理担当教師(53)も、授業中に寝ている2年生の男子生徒を起こしたところ、大変な目に遭った。
生徒は、教師が揺すり起こしたところ、カッとなって立ち上がり、手に持っていたボールペンで教師の目を突こうと飛び掛ってきた。
教師は辛うじてボールペンをかわしたものの、心的ショックは大きかった。
■青少年の暴力犯罪、44.7%が「カッ」となって
京畿道城南市盆唐区で高校の教師を務めるチェさんは
「教師と相談している間も感情的になり、大声を張り上げるなど、感情のコントロールができない生徒が、以前とは比較にならないくらい増えた。
他人と対話する方法や自分の過ちを素直に受け止める方法、感情をコントロールする方法を知らないためだ」
と分析する。
こうした生徒たちの「カッ」となってからの行動は、ひどい場合には犯罪へと至ってしまう。
最高検察庁が2011年に検察に起訴された18歳未満の犯罪者8万3060人の犯行動機を分析した結果、26.3%(2万1870人)が瞬時の怒りを抑えることができず(衝動的に)犯罪に及んでいたことが分かった。
殺人や強盗、強姦(ごうかん)などの犯罪の23.5%(775人)、暴行や傷害など暴力犯罪の44.7%(9938人)が「カッ」となって、そのまま犯行に及んだケースだった。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/09/20 06:13
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/20/2013092000010.html
「怒り」を抑える訓練、生徒も教師も不足
本紙の取材チームが韓国教員団体総連合会(韓国教総)に依頼して全国の小中高校の教師594人を対象にアンケート調査を行った結果は衝撃的だった。
回答者の約4割が「生徒たちが『カッ』となる姿を見て、最近1学期間で教職を辞めたいと思ったことがある」と回答したためだ。
だからといって、必ずしも生徒たちだけが『カッ』となるわけではなかった。
教師らも爆発してしまうのだ。
延世大学医学部の千槿雅(チョン・グンア)教授(小児精神科)は
「韓国の学校が抱いている最大の問題点の一つが、教師も生徒も『怒り』をコントロールするのに慣れていないということ」
と指摘する。生徒たちは、頭に来たからといってやたらと突発的行動に出るのではなく、自分の感情と立場を秩序立てて説明し、他人の立場を気配りできなければならないわけだが、こうしたトレーニングに慣れていないというのだ。
こうした状況は教師も同様だ。生徒たちが怒るとき「教師の権威に挑戦しようというのか」として「カッ」となるよりも「あなたの立場も共感できるが、こうした側面もある」と説得できなければならない、と専門家たちは説明する。
千教授は
「韓国の教室では怒りを表現するトレーニングを受けたことがない生徒と、こうした生徒に対する上でのトレーニングを受けてこなかった教師が衝突し合うことで、互いに『怒り』をぶつけ合うといった現象が頻繁に発生する」
と話す。
中には、
「子どもたちの話を聞けば、図に乗って大人たちを見下すようになる」
と思い
「最初から何も言えないように厳しく抑え付けるべきだ」
と考える教師も多い。
教師や生徒も互いに対話したり思いやりの心を抱いたりというよりは、後先構わず相手を攻撃してしまう「引き金」の方が、先に作動してしまうのだ。
また
「大人たちが誠心誠意を持って接する姿を繰り返し見せることで、ほとんどの子どもたちは『話せば分かる』といった信頼の心を持つようになり、本人も自然と怒りをコントロールできるようになる」
と説明した。
』
「切れる」というのは日本でもよく言われていることである。
韓国の「怒り」と日本の「切れる」はどう違うのだろう?
日本の教師は「切れない」ということが大きな違いのようである。
教師が「切れる」ということは、「社会全体が切れやすい」ということにもなる。
ではなぜ、韓国の教師は「切れやすい」のか、と言うより
「なぜ、韓国社会は切れやすいのか?」
という問題になる。
その答えは、
「先進国の人たちは切れないように細心の注意を払って管理している」
ということになるのだろうか。
どうも充分な説得力があるようにはとても思えないのだが。
【「底知らず不況」へ向かう韓国】
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