●韓国でロックスター先生として知られるKim氏
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ウオールストリートジャーナル 2013年 8月 04日 23:06 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324513804578647820519811936.html
By AMANDA RIPLEY
年収400万ドルの講師がいる教育大国・韓国から何を学べるか
Kim Ki-hoon氏の年収は400万ドル(約3億9500万円)。
韓国でロックスター先生として知られる人物だ。
ロックスターと先生の組み合わせは他の国ではめったにない。
Kim氏は20年以上にわたって私立の塾 (韓国では「学院」と呼ばれる)で教えている。
世界で働く多くの教員とは異なり、給与はKim氏の技術に対する需要に応じて支払われる。
そして、Kim氏は引く手あまたの人気講師だ。
Kim氏は週に約60時間英語を教えているが、講義を行うのは3時間だけ。
ビデオに録画されたKim氏の講義はインターネットを通じて1時間4ドルの料金で販売されている。
Kim氏は1週間のほとんどをインターネット経由で寄せられる生徒からの質問に答えたり、授業計画を立てたり、教科書やワークブックを作成したりしながら過ごす(これまでに作成した教科書やワークブックは約200冊に上る)。
「一生懸命働けば働くほど収入が増える。
それが気に入っている」
とKim氏はこともなげに言う。
米国は世界の教育大国から何を学べるか。
それを見つけるために世界各国を巡っていた筆者は、教育者の能力が自由市場で評価されるのがどんなことなのか知ろうと、韓国を訪れた。
Kim氏のような塾サービスのおかげもあって、韓国の教育システムは過去数十年の間に劇的に改善し、今では当たり前のように米国をしのぐ成績を収めている。
60年前にはほとんどの韓国人は読み書きができなかったが、今では韓国の15歳は読解力で上海市に続いて世界第2位の成績を挙げている。
韓国の高校卒業率は93%に上るが、これに対して米国は77%だ。
アイルランドから香港、さらにはカリフォルニア州やニュージャージー州の郊外の小さなショッピングモールに至るまで世界中で塾が伸びている。
「影の教育システム」と呼ばれることもあるこのシステムはメーンストリームである学校とそっくりで、学校の授業が終わった放課後に有料であらゆる教科の授業を行う。
しかし、韓国の塾ほど市場浸透度が高く、洗練されている個人指導サービスは他の国には見当たらない。
韓国では塾講師の数が学校の教員数を上回っている。
この影のシステムをよく見てみると、画期的であるのと同時に厄介なものであることが分かる。
このシステムのおかげで教師も生徒も努力し、工夫する。韓国が学問の超大国になったのもこのシステムがあったからだ。
しかし、生徒に精神的な負担がのしかかっていることは言うまでもないが、
優れた教育を金で買う競争も起きている。
最高の教育サービスを受けられるのは最も裕福な家庭だ。
この影のシステムでは、生徒は基本的に1日に2回学校に行く。
日中に学校へ行き、夜には塾に行く。
容赦なく勉強させるシステムなのだ。
Kim氏の収入のほとんどはインターネットで講義を毎年視聴する15万人の生徒が支払っている。
生徒の多くは韓国版の米大学進学適性試験(SAT)の点数を上げようとしている高校生だ。
Kim氏はブランドだ。
これだけ突出した成果を挙げると費用もかかる。
Kim氏は30人の従業員を雇って自ら築き上げた帝国を管理するほかに、自分の本を制作するために出版社も経営している。
Kim氏の仕事は規模や洗練の度合いから言っても、単なる指導ではない。
Kim氏が勤務するインターネット塾「メガスタディ」は韓国の証券取引所に上場している(メガスタディの関係者はKim氏の年収を確認した)。
韓国の子供は4人にほぼ3人の割合で塾に通っている。
保護者が2012年に塾に支払った金額は170億ドルを超える。
調査会社NPDグループによると、これは米国人が同じ年にビデオゲームに費やした金額(150億ドル)を上回っている。
韓国の教育市場は多くの利益を生み出している。
だからこそゴールドマン・サックスやカーライル・グループ、AIGなどの企業が投資するのだ。
Kim氏との面会はわくわくするものだった。
米国のプロスポーツ選手が稼ぐ金額を手にする講師なのだ。
Kim氏のような野心と能力がある米国人は銀行員か弁護士になる必要があるかもしれないが、
韓国に住むKim氏は講師になって富を手にした。
うまく教えることは難しい。
それならうまく教えて利益を上げればいいじゃないか。
こうした考え方は魅力的だ。
米国の学校教師が大金持ちになることはないとしても、成長著しい韓国の教育市場から学ぶことはある。
学べるのは教員をやる気にさせる方法や保護者や生徒の心をつかむ方法、
変化を続ける世界に順応する方法だ。
韓国の塾市場は完全な実力主義に近く、非情な世界だ。
塾の講師はフリーエージェントだ。
資格は不要で、手当もなければ基本給も保証されていない。
給与は成果に基づいて支払われる。
多くの塾講師は長時間働くが、収入は学校の教員よりも少ない。
成果は授業に登録している生徒の数、生徒のテストの点の伸び率、生徒や保護者への満足度調査に基づいて評価される。
「先生はどのくらい熱心ですか?」。
ある塾の調査では生徒にこのような質問をしている。
講師の評価の60%は調査の結果で決まる。
「生徒は顧客です」
とソウルで5軒の塾を経営するLee Chae-yun氏は言う 。
生徒を集めるため、塾は成果を積極的に宣伝する。
塾の卒業生のテストの点数や大学合格数をインターネット上で公開したり、塾の外に貼りだしたりする。
ここまでの情報を開示していることは驚くべきことだ。
米国でも標準化テストにこだわる向きは多いが、そのわりには結果はややこしくて、保護者はなかなか理解できない。
ところで生徒は学校で学ぶ以上の内容を塾で学んでいるのだろうか。
驚くほど答えにくい問題だ。
世界各地で調査が行われたが、結果は一様ではない。
調査からうかがえるのは放課後に通う塾は量より質が重要だということだ。
さらに、料金は質と必ずしも一致しない。
この点がまさに問題なのだ。
①.最も裕福な家庭の子供は最も人気のある教師によるマンツーマン指導を受けるだけの金銭的な余裕があるが、
②.そうでなければ質が劣る塾に通って大勢の生徒と信頼性に劣る指導を受けるか、
③.自分の通う公立の学校が無料で行う補習に出る。
韓国の保護者の10人に8人が塾の費用が財政的な負担になっていると感じている。
それでもほとんどの保護者は費用を払い続けている。
払えば払うほど、子どもが多くのことを学べると信じて。
韓国政府は数十年にわたって民間の教育市場の抑制に努めてきた。
政治家は塾に門限などあらゆる種類の規制を押しつけた。
韓国で軍政が敷かれていた1980年代には塾が一切禁止された。
そのたびに塾はさらに強くなって戻ってきた。
「唯一の解決策は公教育を改善することだ」
と年収400万ドルの講師Kim氏は言う。
韓国の教育相や多くの教育関係者も同じ意見だった。
理論的には、保護者が公教育を信頼していたら、子どもに追加の指導を受けさせるために高い費用を払うことはない。
信頼を醸成する方法として、Kim氏は公立学校の教員の給与を成果に応じて大幅に引き上げることを提案している。
塾と同じ方法である。
そうすれば、技術が高く教養のある人間が教職に就くようになるかもしれない。
保護者は最も優れた教師はショッピングセンターの塾で教える講師ではなく、子どもの学校にいる教師だということを理解するだろう。
学校も保護者や生徒と積極的にコミュニケーションをとることで信頼を築くことができる。
米国でも企業は既にこうした方法を実践していて、大きな成果を上げている。
定期的に生徒にアンケートを行い、教師について意見を聞くこともできる。
アンケートは教師に自信を失わせるような方法ではなく、教師の成長を助けるような方法で行う。
校長はその結果を積極的に開示する代わりに、家でもっと勉強するように生徒や保護者に求めることもできる。
成果を上げている教育システムのある国では既に行われていることだが、厳選した真剣な教員養成プログラムを用意することも1つの手だ。
教師が教室に入る前から、教師という職業に信頼と尊敬を吹き込むのだ。
全ての問題を解決できる国などない。
しかし、情報に左右される世界経済の中で、いくつかの真実は普遍性を獲得しつつある。
それは
①.数学、読解、科学の分野で批判的思考を身に付ける必要があること、
②.やる気を持たなければならないということ、
③.順応する方法を学ばなければならないということ、
である。
学校も変わらなければならない。
そうでなければ、自由市場が学校に代わって要請に応えることになるかもしれない。
―アマンダ・リプリー氏はニュー・アメリカ・ファンデーションのエマソン・フェロー。
このエッセイは8月13日にサイモン・アンド・シュスターから刊行される著書「The Smartest Kids in the World—and How They Got That Way(世界で最も賢い子どもたち―どうして彼らはそうなったのか)」に基づく。
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なら、中国は。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年8月5日 0時53分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75098&type=0
重すぎる「学生の負担」、中国の重大問題に―中国紙
2013年8月2日、
「学校の授業が終わると、鞄の中から宿題を取り出し宿題に取りかかる。
休みに入ると、鞄を背負って補習に行く。
新学期が始まると、学生にのしかかる負担はさらに膨れ上がり、山より大きくなる」。
これは中国の小中高生の現実の姿だ。詰め込み授業、多くの宿題、度重なるテスト・コンクール、巨大な受験ストレスは、彼らの楽しい子供時代を奪い、若さ真っ最中の彼らの口からため息とともに出てくる共通の言葉は「疲れた」だけだ。
人民日報が伝えた
●.教育に追い詰められた中国の学生
「学校のある日は睡眠不足」が約8割
中国教育部が「緊急学生負担軽減令」を発表してから10年後の2010年、授業や宿題の負担は一向に減らなかっただけはなく、かなり多くの小中高生が健康面での代償を払う結果となった。
統計データによると、小学生の近視率は10年間で倍増し、20%から40%に跳ね上がった。
中学・高校生の近視率は約20ポイント増の67%に達した。
中国青少年研究センターの調査によると、1999年以降、中国の小中高生の睡眠時間は減少の一途を辿っており、睡眠不足の学生は、授業のある日が約8割、週末でも7割を上回っている。
長期にわたる睡眠不足は子供の身体的健康を損なうだけではなく、長期的なトラウマや人格障害をもたらす恐れがある。
中国の学校教育はここ数年、教育の真の意義から外れ、教育規律や青少年の成長法則からも外れたものとなっている。
「私は中国の教育に追い詰められ、狂わされた」
というある学生の言葉は、人々に警鐘を鳴らしている。
●.超過負担の学生の親の「異常な行動」
衣食費の出費を惜しみ、お稽古ごとに多額をつぎ込む
「月曜日はピンイン、火曜日は粘土細工、水曜日は声楽、木曜日は英語、金曜日はピアノ、週末は数学」。
武漢に住む徐さんの5歳半になる子供は、17種類の各種教室に通っており、費用は累計12万元(約195万円)に上る。
これは決して特別なケースではない。
一人っ子政策の実施により、たった一人の大切な我が子に全期待を寄せる両親は非常に多い。
武漢市のある母親が、
「小学校に上がる娘を持つ母、私は異常?」
と題し、次のような書き込みを行った。
「衣食費は惜しんでも、多額のお金をお稽古事に注ぎこむことは惜しまない。
娘にも親にも、祝休日なんて関係ない。
娘を甘やかすことは、彼女を駄目にすることだ。
今が良ければいいと楽しい子供時代を優先させて、素晴らしい未来を失う訳にはいかない」。
この書き込みは多くのネットユーザーの注目を集めた。
多くの親が共感を示し、自分も「異常な母親」「異常な父親」であると認めた。
親の「異常ぶり」の根本的原因は巨大な受験ストレスにある。
「子供が有名進学校に入れなかったら?」
という心配から、焦りと不安で一杯の親は、
「私たちが頼れるのは能力と成績しかない」
という観念をのべつくまなく子供に注ぎこむ。
そして、親も子供とともに勉強という苦難の道を苦労しながら進み、力の限り努力する。
子供に対して、他の子供より少しでも多く勉強し、少しでも多く本を読み、1点でも高い得点を取るよう叱咤激励する。
学校の門まで迎えに行き、そのままお稽古の教室に送って行く。
こうして、子供たちの負担はどんどん増え続ける。
●.「減らせば減らすほど逆に重くなる負担」に焦る全国民
ますます歪んでいく子供の身体と精神
教育部が新中国成立以来初の負担軽減令となる「小中高生の過剰負担を軽減するための指示」を発表したのは、早や1955年7月だった。
1988年5月には国家教育委員会が「小学生の授業・宿題負担の軽減に関する規定」を制定・発表した。
そして2000年2月、教育部が緊急通知を発表し、小学生の過剰な授業・宿題負担を軽減するよう求めた。
2010年の教育計画綱要では、「負担軽減」が国家戦略に組み入れられた。
最初の負担軽減令が発表されて以来、半世紀あまりが経ったが、学生の負担は国が減らそうとすればするほど重くなった。
北京大学中国社会科学調査センターが発表した「2013年中国人民生活発展報告」では、
★.重すぎる学業負担、
★.短すぎる運動(体育)時間、
★.栄養の過剰摂取
の結果、学生の体質は低下していることが明らかになった。
2012年、中国の6歳から15歳までの児童のうち、標準体重をオーバーしている肥満児の割合は、都市・農村部女児で21.5%、男子で32.3%に達した。
まだ若いのにぶよぶよと太った体つきの子供たちは、自分の体力・体質が劣っていることを心配することなど皆無だが、テストの成績が期待通りではなかったことには非常に落胆する。
これは明らかに教育観の「倒錯」と「歪み」を示している。
それは、子供の身体だけではなく、子供の精神までをも歪めている。
学生が背負う重すぎる負担は、今や軽視できない中国教育の弊害となり、中国人全体の痛みとなった。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/TF)
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【「底知らず不況」へ向かう韓国】
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