●国際金融センター(IFC)ビル
『
朝鮮日報 記事入力 : 2013/07/08 09:37
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/08/2013070800822.html
外資系金融機関が韓国離れ、低収益を嫌気
国際金融センタービルは閑古鳥
ソウルの金融街・汝矣島にある国際金融センター(IFC)ビル。
世界的な金融ハブを建設するという野心に満ちた計画で建てられたビル3棟のうち、明かりがついていたのは、最初に建てられた1号棟(32階建て)だけだった。
昨年11月に完成した3号棟(55階建て)は、入居希望企業が全くないまま、ドアは締め切られ、夜になると暗闇に包まれていた。
3号棟と同じ時期に完成した2号棟の入居率も38%にとどまり、ビル全体ががらがらの状態だ。
ようやく入居企業を確保した1号棟にも金融機関とは関係ない企業が入っている。
ソニー(電子)、LGハウシス(建築資材)、フィリップモリス(たばこ)を誘致して、何とか空室のまま放置するのを免れた。
国際金融センターという名前にふさわしい外資系の大手金融機関は全く入居していない。
外資系証券会社のソウル支店長は
「香港にある国際金融センター(IFC)ビルは、スイス金融大手のUBSが賃貸契約を2019年まで延長するなど不夜城となっている。
がら空きの国際金融センタービルは、外資系金融機関から無視された韓国金融市場の現状を象徴している」
と話した。
■外資系金融機関の撤退ラッシュ
外資系金融機関は韓国進出をためらうだけでなく、既に進出していた金融機関の撤退も相次いでいる。
英金融大手HSBCは今月5日、韓国の支店11カ所のうち10カ所を閉鎖し、個人向け金融(リテールバンキング)事業から撤退することを決めた。
2001年以降、韓国から撤退した外資系銀行は8行目となる。
これまでに日本の旧あさひ銀行(りそな銀行、埼玉りそな銀行の前身)、米国のハワイ銀行、カリフォルニア・ユニオン銀行、オーストラリアのナショナル・オーストラリア銀行(NAB)、中東のアラブ銀行などが韓国を撤退した。
金融監督院によると、アジア通貨危機直後の1999年には韓国に進出した外国金融機関が46行あったが、昨年には39行に減少した。
■脱韓国ラッシュは銀行だけではない
オランダ保険大手のINGは、韓国からの撤退に向け、子会社を東洋生命に売却する手続きを進めている。
英保険大手アビバもウリアビバ生命株を売却し、韓国事業から撤退する計画とされる。
これに先立ち、昨年11月にはゴールドマン・サックス資産運用が07年の韓国進出から5年で撤退を発表した。
米保険大手AIGもアジア太平洋本部を韓国に置くとする計画を白紙化した。
外資系金融機関の撤退により、韓国金融業界で雇用機会が失われている。
HSBCでは行員240人が早期退職で職を失った。
今年下半期にはウリ金融の民営化プロセスが本格化するが、外資系金融機関の反応は低調とされ、金融当局が懸念を深めている。
外資系銀行の責任者は
「銀行間の過当競争で収益性が低下する中、金融当局は行き過ぎた規制で銀行を苦しめている。
そんな状況で外資系銀行が韓国の銀行の買収に乗り出せるわけがない」
と漏らした。
■急低下する収益性
韓国金融市場が注目を失う主な理由は、金融市場の整備が諸外国より遅れており、収益性が低いためだ。
韓国の銀行業界は、担保融資で利息を受け取る安易な商売に依存しており、低金利環境では収益性が急激に低下する。
金融当局は世界的な金融危機以降、庶民向け融資の拡大、融資手数料の引き下げなど銀行の社会的責任を強調し、収益性低下を招いた。
金融危機以前の07年には、銀行全体の純利益が15兆ウォン(約1兆3200億円)あったが、昨年は約半分の8兆7000億ウォン(約7600億円)にとどまった。
韓国の銀行の低収益は、外資系銀行と比較すれば明らかだ。
昨年の韓国の銀行による株主資本利益率(ROE)は平均6.41%で、中国の国営4大商業銀行(工商銀、建設銀、農業銀、中国銀)の平均21%の3分の1にも満たない。
収益低下に苦しんでいるとされる米大手銀行4行(ウェルズ・ファーゴ、BOA、シティ、JPモルガン・チェース)のROEは7.3%で韓国よりは高い。
朱宰聖(チュ・ジェソン)元金融監督院副院長は
「世界的な金融機関が組織のスリム化に乗り出し、収益性の低い国の拠点を閉鎖しているため、韓国が真っ先にターゲットになっている」
と指摘した。
収益性の低下は、韓国の金融機関の責任も大きい。
狭い国内市場に安住し、海外進出など収益源の多角化を進めなかったからだ。
韓国の金融機関は1960年代から海外進出に取り組んだが、海外部門の資産規模や収益能力は世界的な金融機関に比べ見劣りする。
金融監督院によると、昨年の総資産に占める海外店舗資産の割合は、銀行は3.9%、証券は0.7%、生命保険は0.1%だった。
一方、世界的な金融機関であるBNPパリバやHSBCの場合、海外資産の割合は48%に達する。
また、韓国の銀行の利益全体に占める海外店舗の割合も7.1%にすぎず、HSBC(83%)の10分の1にも及ばない。
韓国金融研究院の徐炳浩(ソ・ビョンホ)研究委員は
「韓国の金融産業は事業構造が単純で、各社間で差別化されておらず、
景気変動などの一時的な要因で収益が揺らぐ。
海外から見れば予測不可能でリスクが高い」
と指摘した。
全国銀行連合会の朴炳元(パク・ピョンウォン)会長は
「金融産業が競争力を失えば、結局は実体経済を下支えするという金融本来の機能も低下せざるを得ない。
金融産業を育成するための政府レベルの対策が求められる」
と述べた。
』
経済構造が奇形化しているために、金融の仕事場がない。
とすれば出ていかざるをえなくなる。
とすれば出ていかざるをえなくなる。
「金融産業を育成するための政府レベルの対策が求められる」
というが、金融は基本産業にあくまで付帯するもの。
その基本産業が奇形化し、おかしくなっている状況では金融は手をだすことができなくなっている。
「金融産業を育成」したいのなら、まず経済構造の仕組みを変えて行かねばならぬだろう。
景気のいいときは奇形構造でもなんとかなるが、不景気になるとそのツケがてきめんに出てくる。
『
ロイター 2013年 07月 11日 16:31 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96A06S20130711?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
焦点:アジア市場からの資本逃避、米緩和策縮小で加速へ
[シンガポール 11日 ロイター] -
5月と6月にアジア市場が見舞われたパニックは、米連邦準備理事会(FRB)が実際に緩和策縮小に乗り出した際の、一段と深刻なキャピタルフライト(資本逃避)に向けた序曲となるのかもしれない。
どれほど早くFRBが債券買い入れプログラムを縮小するのかにより、アジアからどれくらいのスピードで資本が引き揚げられるのか決まることになるだろう。
アナリストらによると、インドネシアやタイ、マレーシアといった、大きな経常赤字を抱え、株式や国債における外国人投資家の保有割合が高い国は影響を受けやすいとみられる。
資本が流出すれば、債券利回り上昇と自国通貨安につながるだろう。
ドルを借り入れているものの、自国通貨で収益を得ているアジア企業も影響を受けやすそうだ。
こうした企業は不動産や通信、肥料業界では珍しくはなく、ドル建てのハイイールド債市場で資金を調達している。
スタンダードチャータード銀行(シンガポール)のストラテジスト、カウシク・ルドラ氏は
「量的緩和で資金が流入していた新興市場は、資金が引き揚げられた際、流通市場の流動性が非常に乏しいことを考慮すると、不測の事態が起きるリスクが高い」
と話す。
インドネシアルピア、タイバーツ、マレーシアリンギはいずれも5─6月のパニックの際に下落し、それ以来下押し圧力にさらされている。一段の資本逃避が起きればさらに打撃を受けそうだ。
BNPパリバの推計によると、外国人投資家は、
インドネシア国債の34.7%、
マレーシア国債の31.7%、
タイ国債の18.9%
を保有している。
これらの国はこれまでよりも多くの外貨準備を抱えているものの、外貨準備の効力が限定的であることを考慮すれば、自国通貨を下支えするための各国中銀による主要な武器にはなりそうにない。
中銀のデータによると、
インドネシアの外貨準備は輸入のわずか7カ月分しかカバーできず、
韓国は8カ月分、
マレーシアも9カ月分
にすぎない。
対照的に、
香港は輸入の27カ月分をカバーできる外貨準備を持っており、
中国も20カ月分、
シンガポールも17カ月分
のカバーが可能だ。
マニュライフ・アセット・マネジメント(香港)のファンドマネジャー、Endre Pedersen氏は
「新興国市場で最も売りが激しいのは、利回りが非常に魅力的で、ファンダメンタルズがそれほど強くなかった市場だ」
と指摘。
「現在、ファンダメンタルズは役割を終え、人々が注視しているのは双子の赤字(経常赤字と財政赤字)であり、インドネシアやインドといった市場では米緩和策のいかなる巻き戻しにも影響を受けやすくなっている」
と語る。
シンガポールのNDF(ノンデリバラブル・フォワード)市場では、1年物のルピア、リンギ、バーツがそれぞれ11%、5%、4%下落している。
<ドル流動性タイト化>
アジアにおけるドル流動性のタイト化により、多くの企業が資本市場から締め出される見通しだ。
自国通貨建ての債券市場は流動性が高いが、投資家はリスク回避姿勢を強めている。
トップ企業は資金調達が可能だが、格付けが低かったり、格付けを受けていなかったりする企業は、しばしば高い利回りで、ドル建ての借り入れをしなければならない。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の東南アジア諸国連合(ASEAN)担当マネジング・ディレクター(シンガポール駐在)、Surinder Kathpalia氏は
「政策当局者や市場参加者が対処しなければならないのは、格付けの低い発行体が自国通貨建ての債券市場にアクセスする必要性についてだ」
と指摘。
「現時点で、マレーシアとタイを含む自国通貨建て債券市場では、ほとんどが上位の格付けを得ている発行体ばかりだ」
と話す。
韓国の現代商船は5月、ドル建てのハイイールド債を発行しようとしたが、投資家を呼び込むことができなかった。
韓国メディアは6月、同国の金融規制当局が政策銀行に対し、借り入れができない地元企業の債券を購入するよう求める可能性があると伝えた。
アナリストらによると、世界の海運市場や韓国における不動産市場の低迷で、海運や造船、建設業界の低格付け企業は、償還を迎える社債のリファイナンスが最も困難となりそうだ。
債券のパフォーマンスは、株式の重しとなっている。
今年に入ってから、日本以外のアジア株式市場では、インドとフィリピンを除いていずれも資金流出超となっている。MSCIアジア(日本を除く)指数.MIAPJ0000PUSは年初来で約8%安だ。
ジェフリーズ(香港)のチーフ・グローバル・エクイティーズ・ストラテジスト、ショーン・ダービー氏は、通貨安は株価下落と同じくらい株式投資のリターンに影響を与える、と指摘している。
( Nachum Kaplan記者 Umesh Desai記者;翻訳 川上健一;編集 田中志保)
』
【「底知らず不況」へ向かう韓国】
_
というが、金融は基本産業にあくまで付帯するもの。
その基本産業が奇形化し、おかしくなっている状況では金融は手をだすことができなくなっている。
「金融産業を育成」したいのなら、まず経済構造の仕組みを変えて行かねばならぬだろう。
景気のいいときは奇形構造でもなんとかなるが、不景気になるとそのツケがてきめんに出てくる。
『
ロイター 2013年 07月 11日 16:31 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96A06S20130711?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
焦点:アジア市場からの資本逃避、米緩和策縮小で加速へ
[シンガポール 11日 ロイター] -
5月と6月にアジア市場が見舞われたパニックは、米連邦準備理事会(FRB)が実際に緩和策縮小に乗り出した際の、一段と深刻なキャピタルフライト(資本逃避)に向けた序曲となるのかもしれない。
どれほど早くFRBが債券買い入れプログラムを縮小するのかにより、アジアからどれくらいのスピードで資本が引き揚げられるのか決まることになるだろう。
アナリストらによると、インドネシアやタイ、マレーシアといった、大きな経常赤字を抱え、株式や国債における外国人投資家の保有割合が高い国は影響を受けやすいとみられる。
資本が流出すれば、債券利回り上昇と自国通貨安につながるだろう。
ドルを借り入れているものの、自国通貨で収益を得ているアジア企業も影響を受けやすそうだ。
こうした企業は不動産や通信、肥料業界では珍しくはなく、ドル建てのハイイールド債市場で資金を調達している。
スタンダードチャータード銀行(シンガポール)のストラテジスト、カウシク・ルドラ氏は
「量的緩和で資金が流入していた新興市場は、資金が引き揚げられた際、流通市場の流動性が非常に乏しいことを考慮すると、不測の事態が起きるリスクが高い」
と話す。
インドネシアルピア、タイバーツ、マレーシアリンギはいずれも5─6月のパニックの際に下落し、それ以来下押し圧力にさらされている。一段の資本逃避が起きればさらに打撃を受けそうだ。
BNPパリバの推計によると、外国人投資家は、
インドネシア国債の34.7%、
マレーシア国債の31.7%、
タイ国債の18.9%
を保有している。
これらの国はこれまでよりも多くの外貨準備を抱えているものの、外貨準備の効力が限定的であることを考慮すれば、自国通貨を下支えするための各国中銀による主要な武器にはなりそうにない。
中銀のデータによると、
インドネシアの外貨準備は輸入のわずか7カ月分しかカバーできず、
韓国は8カ月分、
マレーシアも9カ月分
にすぎない。
対照的に、
香港は輸入の27カ月分をカバーできる外貨準備を持っており、
中国も20カ月分、
シンガポールも17カ月分
のカバーが可能だ。
マニュライフ・アセット・マネジメント(香港)のファンドマネジャー、Endre Pedersen氏は
「新興国市場で最も売りが激しいのは、利回りが非常に魅力的で、ファンダメンタルズがそれほど強くなかった市場だ」
と指摘。
「現在、ファンダメンタルズは役割を終え、人々が注視しているのは双子の赤字(経常赤字と財政赤字)であり、インドネシアやインドといった市場では米緩和策のいかなる巻き戻しにも影響を受けやすくなっている」
と語る。
シンガポールのNDF(ノンデリバラブル・フォワード)市場では、1年物のルピア、リンギ、バーツがそれぞれ11%、5%、4%下落している。
<ドル流動性タイト化>
アジアにおけるドル流動性のタイト化により、多くの企業が資本市場から締め出される見通しだ。
自国通貨建ての債券市場は流動性が高いが、投資家はリスク回避姿勢を強めている。
トップ企業は資金調達が可能だが、格付けが低かったり、格付けを受けていなかったりする企業は、しばしば高い利回りで、ドル建ての借り入れをしなければならない。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の東南アジア諸国連合(ASEAN)担当マネジング・ディレクター(シンガポール駐在)、Surinder Kathpalia氏は
「政策当局者や市場参加者が対処しなければならないのは、格付けの低い発行体が自国通貨建ての債券市場にアクセスする必要性についてだ」
と指摘。
「現時点で、マレーシアとタイを含む自国通貨建て債券市場では、ほとんどが上位の格付けを得ている発行体ばかりだ」
と話す。
韓国の現代商船は5月、ドル建てのハイイールド債を発行しようとしたが、投資家を呼び込むことができなかった。
韓国メディアは6月、同国の金融規制当局が政策銀行に対し、借り入れができない地元企業の債券を購入するよう求める可能性があると伝えた。
アナリストらによると、世界の海運市場や韓国における不動産市場の低迷で、海運や造船、建設業界の低格付け企業は、償還を迎える社債のリファイナンスが最も困難となりそうだ。
債券のパフォーマンスは、株式の重しとなっている。
今年に入ってから、日本以外のアジア株式市場では、インドとフィリピンを除いていずれも資金流出超となっている。MSCIアジア(日本を除く)指数.MIAPJ0000PUSは年初来で約8%安だ。
ジェフリーズ(香港)のチーフ・グローバル・エクイティーズ・ストラテジスト、ショーン・ダービー氏は、通貨安は株価下落と同じくらい株式投資のリターンに影響を与える、と指摘している。
( Nachum Kaplan記者 Umesh Desai記者;翻訳 川上健一;編集 田中志保)
』
【「底知らず不況」へ向かう韓国】
_