2013年7月20日土曜日

「国家はサムスンのためにある」:韓国 電力危機、動じないサムスンの特権

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2013/7/16 7:00     日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK08040_Y3A700C1000000/

 韓国 電力危機、動じないサムスンの「特権」

 韓国で今夏、未曽有の電力危機が訪れる。23基ある原子力発電所の3分の1が不祥事などで稼働を停止。
 猛暑になれば、各地で大規模停電が起きる可能性も指摘されている。
 国を挙げての節電キャンペーンが繰り広げられる構図は東日本大震災後の日本に通じるが、完全に異なる絵柄もある。
 日本では企業が電力会社の節電要請に振り回されたのに対し、韓国ではサムスングループを筆頭に大手企業に混乱は広がらない。
 危機感が薄いのはなぜなのか……。

■最後から2番目に停電

 ソウル市の韓国電力公社本社。
 短パン、サンダルという「スーパークールビズ」ファッションの社員が渋面で門をくぐっていく。
 外も暑いがビルの中はもっと暑い。
 節電を呼びかける立場の公社は冷房を使えず、上層階ではセ氏36度にも達する。

 一方、サムスン電子の本社。
 冷房は28度に設定され、うちわであおぎながら仕事をする社員の姿が見られるが、業務効率は落ちていないようだ。

 「総額1兆5000億ウォン(約1300億円)を投じてエネルギー消費量を2割削減する」。
 約1カ月前、サムスングループの経営戦略を統括する「未来戦略室」のコミュニケーションチーム長の李仁用(イ・インヨン)は発表した省エネ対策に胸を張った。
 系列全社の照明を発光ダイオード(LED)にするほか、サムスン電子やサムスンディスプレーの工場の老朽設備を高効率品に取り換えるという。

 ただこれは締め切りを2015年とする中期計画で、あくまで生産効率化が主眼。
 今夏の電力危機を意識したのは、オフィスの冷房設定を午後の一部時間帯で高めにする、社員の半袖シャツ着用・ノーネクタイを認める、夏休みを電力需要が増える8月に集中させるなど、省エネ効果が限定的な事務所を中心とした対応にとどまる。

 工場については「操業時間を調整して電力ピーク時間帯は3~20%の節電をする」というが、これはテレビの組み立てなど家電製品が対象。
 半導体向けクリーンルームなどで電力を大量消費するスマートフォン(スマホ)関連工場は除外しているもようだ。

 それもそのはず。
 サムスンを筆頭に財閥系大手企業グループは政府から実質的な停電対象からの除外という特権を得ているのだ。
 電力公社の中堅幹部が匿名を条件にカラクリの一部を明かしてくれた。…


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朝鮮日報 記事入力 : 2013/07/29 09:42
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/29/2013072900926.html

【社説】サムスン電子の投資が海外に集中する理由

 サムスン電子が今年の設備投資規模を24兆ウォン(約2兆1200億円)に増やすと発表した。
 昨年の22兆8500億ウォン(約2兆200億円)を1兆ウォン以上上回り、過去最大規模となる。
 サムスン電子は今年上半期の投資額が前年同期比4兆9500億ウォン減の9兆ウォン(約7900億円)にとどまったが、第2四半期(4-6月)に過去最高の業績を上げたことで、景気低迷に対する懸念が低下し、再び攻撃的な投資に転じた。
 サムスン電子の投資は国内の他の企業の投資決定に大きな影響を与えるという点で、サムスンの投資拡大は、
 下半期の韓国の経済見通しに明るいシグナルとなる。

 しかし、サムスン電子の投資自体は国内での雇用創出、内需活性化にはそれほど役立たないとみられている。
 サムスン電子の新規設備投資は大半が海外で行われるためだ。中国・陝西省西安市のフラッシュメモリー工場、江蘇省蘇州市の液晶パネル工場、米テキサス州のスマートフォン(高機能携帯電話)用半導体チップ工場、ベトナムの携帯電話端末工場などだ。
 韓国国内では京畿道華城工場に半導体生産ラインを1本増設するのみだ。
 サムスン電子の海外での従業員数は昨年だけ約2万5000人増え、従業員数全体に占める割合は60%を超えた。
 これに対し、韓国国内での雇用はほとんど増えていない。

 だからと言って、サムスン電子が海外の雇用ばかり創出していると批判するわけではない。
 サムスン電子は海外からの売り上げ貢献が85%に達する。
 サムスン電子が半導体、携帯電話、テレビの各分野で世界大手に浮上できたのは、現地生産で積極的に海外市場に参入したおかげだ。
 サムスン電子がさらに成長し、増収を図るには、海外工場を増やすしかない。
 サムスンだけでなく、現代自動車、LG電子、ポスコなどの韓国の大企業も事情は同じだ。

 日本はメモリー半導体産業で韓国のサムスン電子、SKハイニックスに押されるようになった後も、半導体生産設備、素材産業では世界最高の競争力を維持し、対韓国貿易で多額の黒字を上げている。
 韓国も完成品の生産ラインが海外にシフトし、産業の主導権が中国をはじめとする開発途上国に移ることに備え、重要部品・素材、生産設備産業を積極的に育成しなければならない。
 半導体や携帯電話に続く新たな成長産業を発掘すると同時に、中堅企業とサービス産業を育成し、大企業の海外進出で生じた空白を埋める方策を探るべきだ。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/07/30 10:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/30/2013073000809.html

【記者手帳】一流サムスンの三流安全意識

 「(サムスンは)金もうけはうまいのに、事故はなぜこんなに多いのか

 最近サムスンで人命被害を伴う重大な労働災害が相次いでいるためか、財界関係者の間からこのような趣旨の言葉がよく聞かれる。
 不安を感じているのは財界や労働団体だけではない。
 政界からも
 「超一流企業としては考えられない労働災害が何度も発生している。
 サムスンは財界ランキング1位だが、その作業現場における安全対策がこれほどずさんだという現実に、国民の多くは不安を感じている」
という内容の声明も先日発表された。

 今年に入ってサムスンでは大小さまざまな事故が相次いでいる。
 今月26日にはサムスン精密化学が米国企業と合弁で建設を進めていたポリシリコン製造工場(蔚山)の作業現場で貯水タンクの破裂事故が発生し、この事故で施工業者のサムスンエンジニアリングの社員と大学生のアルバイトなど3人が死亡した。
 またその前日にはサムスン電子華城事業場(京畿道)でアンモニアガスが漏れ出す事故が発生し、関係会社の社員が体調不良を訴え病院で精密検診を受けた。
 華城事業場ではこの事故が今年に入って早くも3回目だった。

 サムスン電子は世界にその名が知られたグローバル企業だが、安全対策に関してだけは例外だ。
 今年1月にはフッ酸漏れ事故が発生し、作業場で配管の修理作業をしていた関係会社の社員1人が死亡し、4人が病院で治療を受けた。
 この事故の処理が行われている最中に、サムスン精密化学では塩素ガスが漏れ出し6人が病院で治療を受けた。
 サムスンは再発防止を約束したが、今年5月には再びフッ酸漏れ事故が発生し、関係会社の社員3人が病院で治療を受けるなど、まさに面目丸つぶれだ。

 最近になって企業経営の大きな圧迫要因となり始めたのが「有害化学物質管理法」の改正案だ。
 この法律は化学物質など有害物質が漏れ出す事故が発生した場合、最大でその事業場における売り上げの5%(単一事業場は2.5%)の課徴金を徴収することを定めていることから、中小企業関係者でさえこの法律の制定には反対した。
 法案は5月に与野党の合意により国会本会議で可決したが、これを大きく後押ししたのは
 「サムスンのような韓国最大の企業でも、人命被害をもたらすような事故が発生しているため、規制を一層強化すべきだ」
とする根強い世論だ。

 サムスン内部からは
 「枝の多い木に風がやまない日はない(枝葉が多い木は少しの風で揺れるので静かになる日がない、の意)」
ということわざで弁明する声が上がっている。
 しかし安全対策においては温情など無用だ。
 サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長は20年前に「新経営」を宣言し「不良はがん」というメーカーとしての基本原則を改めて強調するスローガンを掲げ、これを受けて「不良電話機火あぶり式」が行われ話題となった
 。しかし今サムスンにとって本当に深刻な問題は不良だけではなく、「安全第一」という言葉を本当に肝に銘じて実践することではないだろうか。




【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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