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朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/09 09:16
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/09/2013050900540.html
韓国の銀行不良債権が急増、金融危機以来5年ぶり
韓国の銀行の不良債権に警告ランプがともった。
海外の景気に敏感な造船業などを傘下に置く大企業の赤字が世界的な景気低迷の影響で拡大し、これら企業に融資を行う銀行も影響を受け始めたからだ。
銀行の不良債権問題がクローズアップされるのは、2008年の世界的な金融危機以来5年ぶりだ。
最近は海外の景気低迷による注意業種に建設、造船、海運だけでなく、石油化学、鉄鋼、セメントなども含まれている。
このまま金融業界や政府レベルによる支援がない場合、
年末にも大企業発の銀行危機が再発すると懸念する声も聞かれ始めた。
■20兆ウォン超えた不良債権
金融業界によると、3月末時点で韓国国内の銀行18行の不良債権は20兆ウォン(約1兆8200億円)を超えたと推定される。
昨年末の18兆5000億ウォン(約1兆6800億円)に比べ、1兆5000億ウォン以上膨らんだことになる。
これは2010年に錦湖アシアナグループのリストラと不動産景気の低迷によるプロジェクト融資の不良債権化で、半年間に不良債権が11兆ウォン(約1兆円)増加して以来で最速の増加ぶりとなる。
不良債権が増加したことも問題だが、債権の質が悪化したことがさらに問題だ。
不良債権は回収可能性によって
①.固定(債権を回収できない可能性あり)、
②.回収疑問(債権回収が非常に困難)、
③.推定損失(債権回収不可能)
に分類されるが、年初来で固定が1兆3000億ウォン(約1200億円)、回収疑問が2200億ウォン(約200億円)増えたのに対し、推定損失は2兆4000億ウォン(約2200億円)も増加した。
深刻な不良債権が急増したのは、STXグループをはじめ、建設、造船、海運関連の大企業に対する融資が不良債権化したことによる影響が最も大きい。
市中銀行の融資担当副頭取は「STXグループよりも規模が小さい城東造船海洋だけで2兆ウォン(約1800億円)が不良債権化している。
債権規模が13兆ウォン(約1兆1900億円)に達するSTXの場合、既に数兆ウォンの不良債権が生じていると見てもよい」と指摘した。
さらに、石油化学、鉄鋼、セメント分野の業績も悪化し、危機感が強まっている。
これら業界は中国の建設好景気で拡大する需要に対応するため、設備投資を大幅に増やしたが、中国経済が減速したことで「過剰投資」が足を引っ張る形となった。
昨年末現在で韓国の銀行の大企業に対する融資残高は221兆ウォン(約20兆2000億円)だ。
韓国銀行は融資全体の5分の1に迫る48兆ウォン(約4兆4000億円)が注意業種への融資で、「潜在的不良債権」に当たるとみている。
■大企業発の銀行危機も
不良債権が増えれば、銀行の貸倒引当金も増加し、銀行の収益性が低下する。
今年第1四半期(1-3月)の韓国の銀行全体の純利益は1兆8000億ウォン(約1600億円)だったが、前年同期を45%下回った。
金融監督院関係者は「第1四半期は貸倒引当金よりも9000億ウォン(約820億円)の減益が原因だったが、下半期には貸倒引当金が大きな懸念要因となる。企業の経営危機が銀行に波及しないように注意を払っている」と述べた。
STXグループに対する銀行業界の貸倒引当金は8000億ウォン(約730億円)に達したと推定されるが、注意業種の潜在的不良債権に対する貸倒引当金を計上した場合、金額は3兆ウォン(約2700億円)に迫る見通しだ。
西江大の南周夏(ナム・ジュハ)教授(経済学)は
「大企業グループが1、2社経営破綻しただけで巨額の貸倒引当金を計上しなければならず、銀行業界全体の健全性にとって大きなリスクとなる」
と指摘。
金融インフラの根幹である銀行の経営が悪化すれば、金融不安を招き、経済全体に悪影響を及ぼす可能性がある。
別の市中銀行副頭取は
「企業向け融資と家計向け融資の割合は半々に近いが、貸倒引当金は企業が8割、家計が2割で、企業の方がはるかに多い」
と述べた。
銀行は家計向け融資で稼いだ利益を企業向け融資の不良債権を穴埋めするのに使っていることになる。
各債権行は今月末までに大企業30社に対する評価を行い、財務状況が思わしくない企業には6月までに資産売却、合併・買収などを推進する内容の「財務構造改善約定」の締結を求める構えだ。
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【「底知らず不況」へ向かう韓国】
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