2013年5月2日木曜日

技術を誇る日独の中小企業、景気低迷でも売り上げ増

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/02 12:35
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/02/2013050201278.html

技術を誇る日独の中小企業、景気低迷でも売り上げ増

 ドイツのインフィニオンは、自動車半導体分野で世界2位、産業用半導体分野で同1位、セキュリティー・チップ・カード分野で同1位を誇るメーカーだ。
 昨年は売上高6兆ウォン(約4400億円)、営業利益1兆2000億ウォン(約900億円)を計上した。
 欧州の財政危機にもかかわらず、2010年に比べて売上高は21%、営業利益は65%も増加した。
 営業マージンを20%も残すというのは、サムスン電子の半導体部門の2倍に相当する。

 日本の素材メーカー、東レも昨年の営業利益が前年に比べて40%増加し、日本の素材・部品メーカーの底力を見せている。

 欧州の財政危機を皮切りに始まった世界的な景気低迷の中でも、ドイツや日本の部品・素材メーカーは卓越した技術力をベースに高い市場シェアを維持している。
 専門家たちは、ドイツと日本の経済の真の力は、完成品メーカーよりもこれらを力強く支える隠れたチャンピオン(Hidden Champion)、
 いわゆる「強小企業」にある
と評価する。

■技術力の源泉は圧倒的な研究人材

 インフィニオンは、2万6000人の従業員のうち研究人材が実に9000人を占める。
 全従業員の35%が研究職なのだ。
 これが同社の底力の秘密だ。
 一方のサムスン電子は25%、現代・起亜自はわずか8%にすぎない。

 インフィニオンのアジア・太平洋支社(シンガポール所在)に務める従業員は1万4000人で、欧州本社の1万1000人よりも多い。
 アンドリュー・チョン支社長は
 「シンガポールだけを見ても、全従業員1700人のうち設計やエンジニアが800人に上る。
 インフィニオンの全ての競争力は、これらの人材が最高の能力を発揮できるようにするところから生み出される」
と話す。

 インフィニオンは、アジア地域の優秀な人材を一挙に発掘し、成長するアジア市場を掌握した。
 チャン支社長は中国系オーストラリア人、自動車半導体本部長を務めるC・S・ソン氏は中国系シンガポール人、管理責任者はマレーシア人だ。

 日本の東レの競争力も、全従業員の40%に相当する3000人の研究開発人員にある。
 今すぐ利益につながらないとしても、これらの人材が長期間研究に集中できるような環境が整っている。
 ポリアミドや炭素繊維などの技術は、30-40年前から可能性に着目し、研究開発に集中してきたため、大きな結果につながった。
 東レの韓国子会社「東レ先端素材」の渡邊拓生IT材料研究室長は
 「韓国は基礎技術や素材分野に対する研究が必要だと分かっていても、今すぐ結果が出る応用分野に集中するきらいがある。
 素材産業で競争力を育むためには、時間をかけて人材を育て、長期にわたって投資する先見のまなざしが必要だ」
と助言する。

■素材・部品の技術力で武装した強小企業

 ドイツや日本には、しっかりとした技術力で武装した素材・部品関連の強小企業が多数存在する。
 ドイツのフランクフルトにあるボリン・アルマトレン・パブリックもその一つだ。
 オートメーション機器や発電機などに使用されるバルブを専門に生産する、
 従業員30人の小企業だ。
 2009年の経済危機でバルブ業界が不況に陥った際も、同社の受注は減らなかった。
 オーナー兼CEO(最高経営責任者)のボリン・フラッド氏は
 「1923年に会社を創設して以来、どんなに経済状況が悪くても10%以上、売り上げが低下したことはない。
 品質が優れているため、欧州だけではなく米国や中国をはじめ、うちのバルブを使っている企業は2000社に上っている」
と話す。

 ドイツは34万社の中小企業が輸出を行っており、全輸出企業の実に98%を占めている。
 世界市場シェアで1、2位を争う「強小企業」は1990年代半ばには500社にすぎなかったが、現在では1500社以上に増えた。
 このうち3分の2はその分野で1位を占めている。

 こうした状況は、日本も同じだ。
 産業・研究用の微細顕微鏡分野で市場シェア70%を誇るオミクロン・ナノテクノロジーは、従業員100人のうち40%が研究開発人材だ。 
 従業員75人の日プラは、世界中の大型水族館で使用される透明パネルの70%を供給している。
 ソウルの水族館「COEXアクアリウム」の水槽にも、同社製のパネルが使用されている。
 従業員70人のハーモニック・ドライブ・システムズは、ロボットの動作速度の制御分野で市場シェア40%を誇る。

■不景気でも核心部品・素材メーカーは健在

 完成品の製造では海外にイニシアチブを渡したとしても、核心部品の掌握力だけは維持していくことが大切だ。
 日本は米国ボーイングの最新旅客機「B787」を「準国産機」と呼ぶ。
 全部品の35%、特に核心素材のかなりの部分を住友精密、東レ、川崎重工業、富士重工業など日本のメーカーが担当しているためだ。
 B787は胴体外部が炭素複合材で作られており、軽いながらも強度が高いことで有名だが、日本の素材メーカーがなければ絶対に作り上げることができなかった。

 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に使用されている部品でも、日本製の占める割合は伸びている。
 日本の業界によると、最新機種である「iPhone5」に使用されている約1000個の部品のうち40%を日本が占めている。
 ドイツのアーヘン工科大学で博士号を取得した国民大学のホ・スンジン教授(自動車工学)は
 「ドイツや日本の素材・部品メーカーの技術力は、他の国が容易に入り込める領域ではない。
 一部の完成品メーカーが低迷するのとは異なり、産業全体での競争力は相変わらず健在だ」
と話した。





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