2013年7月10日水曜日

緊急脱出時に荷物持ち出しは禁物 アシアナ機乗客避難にみる問題点

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●着陸に失敗したアシアナ機から脱出した乗客(6日、サンフランシスコ)
荷物を引いている避難客もいる。


ウオールストリートジャーナル     2013年 7月 09日 18:58 JST By SCOTT MCCARTNEY
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324368204578595170846938286.html

緊急脱出時に荷物持ち出しは禁物 アシアナ機乗客避難にみる問題点 

乗客がパニックに陥るなか、炎上する航空機から、急角度の脱出シューターを滑り降りるのは簡単ではない。
だが、スーツケースやパソコン、その他の貴重品を持って避難する乗客は後を絶たない。

サンフランシスコ国際空港で起きたアシアナ航空214便の着陸失敗の画像には、かばんやiPadを手にボーイング777型機から逃げる乗客の姿がある。
免税品の酒類が入った箱を2つ持った人までいた。
ヒールのまま走る姿もある。
これも、生きるか死ぬかの状況ではやめた方がいい行為だ。

アメリカン航空のベテラン客室乗務員で客室乗務員組合(APFA)の通信コーディネーターを務めるレスリー・マヨ氏は
避難するための時間は90秒かそれ未満
乗客が自分の後ろの人たちではなく荷物の心配をしていたら、それは問題だ」
と述べた。

客室乗務員は、放心状態だったりパニックに陥ったりしている乗客を、大声で指示を出すことで動かす訓練を受けている。
アメリカン航空の乗務員は、
"Open seat belts! Leave everything! Come this way!"
(シートベルトを外して!何も持たずに!こちらへ!)
と叫ぶ訓練を受ける。

所持品を置いて逃げる理由はいくつかある。
頭上の棚や座席の下からかばんを取り出す乗客は通路の妨げとなり、避難が遅れる原因になりかねない。
迅速な動きを想定して作られたシューターを滑り降りるのは大変なことで、持っていたかばんをなくす人も多い。
持ち物が別の乗客のところに飛んでいくこともあると乗務員は語る。
着地したときの衝撃を抑えるために腕や手が必要になる。

全米客室乗務員協会の幹部でユナイテッド航空の客室乗務員のサラ・ネルソン氏は、
「あのシューターを滑り降りるスピードは(遊園地の)シックスフラッグスの乗り物以上だ」
と述べた。

客室乗務員は、乗客がシューターに飛び移る前に扉のところでかばんを手放させるよう訓練を受けている。
だが、そのために出口付近が散らかり、避難のペースが遅くなる可能性もある。
最近、米系エアラインで火災の可能性があり避難をした際には、乗務員が乗客からかばんを預かり、ギャレーにまきのように積み上げたとネルソン氏は語った。

とがったヒールは膨らんだゴム製シューターに穴を開ける恐れがあり、機内に残っている人にとって深刻な問題になりかねない。
「靴は脱いで」と叫ぶよう乗務員を訓練している航空会社もある。
だが、これをあきらめた会社も多い。
靴を履いていることのメリットの方が大きく、ヒールがシューターに及ぼす脅威はほとんどないと結論づけたためだとネルソン氏は述べた。

安全専門家によれば、事故の起きた機内はパニックと混乱がまん延していることから、フライトのたびに簡単な避難手順を練習して乗客が準備できるようにすべきだという。
0.5秒の差が生死を分けることもある。

例えば飛行機のシートベルトは、使い慣れている人が多い車のボタン式と違い、レバー式であることから、教わらなくても外し方がわかるとは限らない。
(単純そうな機内シートベルトの使い方の実演を客室乗務員が義務づけられているのはこのためだ)。
英民間航空局(CAA)が2008年に行った調査では、世界で起きた238件の事故に巻き込まれた乗客の6%が、シートベルトで手こずったために避難が遅れた。

米国家運輸安全委員会(NTSB)の報告書によると、USエアウェイズが09年にハドソン川に不時着したとき、避難前にライフジャケットをつかんだのは150人の乗客のうち10人にすぎず、浮輪代わりにシート・クッションを持ったのは半数程度にとどまった。
死者は出ていない。

緊急避難の訓練講習では旅行者に、煙が発生した際には低い姿勢を取り、必要に応じて床をはうことを教えている。
最も近い出口までの列数を数えておくことが、後で重要になることも考えられる。
行くべき通路と、そこまでの距離がわかっているからだ。
ブリティッシュ・エアウェイズの避難講習でインストラクターは乗客たちに、
危機に際して何をすべきか考える人が最初に機外に出られる、
と教える。



レコードチャイナ 配信日時:2013年7月8日 15時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74108&type=0

アシアナ航空機事故、荷物を持って避難した中国人乗客に批判
=「財布がないと困る」―中国紙

●8日、事故を起こしたアシアナ航空からある乗客が荷物を持って避難している画像が明らかになり、「命とどっちが大事なんだ」と批判的な見方が広がっている。

2013年7月8日、新京報によると、事故を起こしたソウル発サンフランシスコ行きアシアナ航空機に乗り合わせていた韓国サムスンの幹部が避難中に撮影した画像がメディアを通じて広がっている。
写真には緑色の服を着た女性が機内持ち込み可能な小型スーツケースを引っ張りながら避難している様子が映っていた。

画像が公になると、中国版ツイッター・微博などで「荷物と命とどっちが大事なんだ」と女性に批判的な見方が広がった。
ある航空会社の関係者は
「荷物も大事かもしれないが、一刻を争う避難の中で荷物を抱えていては逃げ遅れる可能性や他の避難者を傷つけてしまったり、避難を阻害したりして被害を大きくしてしまう可能性もある」
と指摘し、そうした行為は慎むべきだとコメントしている。

女性の行動に非難が集まっているが、女性の夫が問題視された行動について「微博」で弁解している。
①.家族3人が座っていた席のすぐそばに荷物があり通路をふさぐ心配がなかったこと、
②.パスポートや財布はすべて荷物と一緒に入っており、なければ困ると思ったこと、
③.他の乗客は先に避難しており、後には誰もいなかったこと
の3点を、荷物を持って避難した理由として挙げている。


「三途の川も金次第」が中国社会である。
そういう社会に暮らしていると、本能的に身を守ることの意味がわかるのだろう。
生きていくということは、そういうことなのだろう。 


アシアナ機事故 客室乗務員らが会見 「事故は遺憾」とコメント(13/07/11) 



CNNニュース 2013.07.11 Thu posted at 19:17 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35034591.html

アシアナ機事故、脱出時に荷物抱えた中国人画像で論議

 

●荷物を持ちだした乗客たち

(CNN) 米サンフランシスコ国際空港で今月6日起きた韓国アシアナ航空機による着陸失敗、炎上事故で、黒煙を上げる機内から脱出した中国人乗客らが安全対策指示を無視しスーツケースを持ち出している画像が出回り、中国のソーシャルメディア上で非常識などとの反発を招いている。

米連邦航空局(FAA)は、機外への避難時には乗客の円滑な脱出を図るため、移動の支障に成りかねない持ち物は放置することを定めている。

アシアナ機には乗客乗員307人が搭乗。乗客の約半分は中国人だった。

中国版ツイッター「微博」には、「非常に失望した。自分の荷物が他人の命より重要なのか」などの投稿が寄せられた。
「外国人、特に米国人は中国では人命が金より安いことを理解しないだろう。
この思いは中国政府と国民に染みついている」
との内容もあった。

一方で、スーツケースを持ち出した乗客を「本能的な反応だろう」と弁護する声もあった。
しかし、擁護の後に「中国人として人命は所有物より重いことを銘記すべきだ」とも付け加えていた。

また、旅客機の安全対策パンフレットに目を通さず、乗務員による口頭での安全対策指示に耳を傾けない乗客を批判する多数の書き込みもあった。

アシアナ機から荷物を持ち出して脱出した中国人乗客も微博で、自らの行動を弁護した。
中国最大手の電子商取引企業の社長と名乗る人物は
「旅券、金など全てがバッグの中に入っていた」
とし、
「これを失ったら大変な事になっていた」
と主張。

さらに、「機内の混乱はひどくなかったし、私の後ろの通路で走るような乗客もいなかった」と続けた。
しかし、この書き込みに対しては複数の反論があり、
「頭がおかしいのではないか。
逃げる時に荷物を持参するのは無知だし身勝手。
自分の行動を正当化しているがその行動が他人の死亡につながったかもしれない。
持ち物はあなたに重要だろうが、より大事なのは他人の命だ」
などと説いた。

アシアナ機事故の原因究明では、緊急事態時に持ち出せる荷物や乗客が取るべき対応について乗務員がどのような指示を出したかが調査対象となっている。
韓国紙の中央日報は同航空の話として、乗務員はドアを開け、脱出用シューターを作動させて乗客の安全避難を助けたと報じている。

民間航空会社の操縦士と名乗る男性は微博で、アシアナ機事故とは別に、航空機搭乗で総じて規則を守らない中国人の不評を紹介した。
米大手アメリカン航空の乗員から多数の中国人は座席で安全ベルト着用や着陸時に座席を元の位置に戻すことも拒否し、重量過多の荷物を頭上の収納室に押し込むなどとの苦情を聞いたと指摘。

「旅客機によっては乗務員の指示に従わない乗客は最高で1500米ドル(約14万7000円)の罰金に直面するとの機内放送を中国語で何度も流さなければならない」
と暴露、
「これらの乗客は誤った振る舞いをすれば緊急着陸の際、自らの命がなくなることを知らないのだろうか」と締めくくった。

アシアナ機事故を調べる米運輸安全委員会(NTSB)は、乗客の振る舞いが避難作業の安全性や効率化にどう影響したのかについてこれまでコメントなどは出していない。





【「底知らず不況」へ向かう韓国】



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