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朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/30 09:01
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/30/2013063000124.html
韓国の経済自由区域10年、実態は「海外資本ほぼゼロ」
5月19日午後、慶尚南道昌原市鎮海区にある「釜山鎮海経済自由区域」の頭洞地区を訪れた。
同区域一帯に開かれた田んぼには、田植えのために多くの所で水が引かれていた。
一部の住民は、トウガラシなどを植えて菜園を作り、貯水池では観光客たちが釣りを楽しんでいた。
穏やかな田園風景だ。
説明しなければ、ここが経済自由区域とは誰も気付かないだろう。
ここは2004年に着工し、15年に完成する予定だった。
完成すれば、各種の先端部品を製造する外資系企業や大規模な外国人居住区域が造成されるはずだった。
しかし、現実は事業者だった韓国土地住宅公社(LH)が途中で放棄してしまったことで、これまでのところ工事は一切行われていない。
近くで菜園を営む住民のクォン・ゴウォンさん(68)は
「頭洞を開発するという話が出てからすでに10年が過ぎようとしているが、工事は一向に進まず、財産権の行使だけが制約されている」
と話した。
頭洞地区に隣接するボベ・キャンパス地区。
2015年の完成予定で海洋や物流に特化した教育機関と最先端の研究機関が入居する予定になっていた。
しかし、工事が中断してしまったため山を削っただけの土地もあり、醜い景観が痛々しい。
決定から10年を迎えた経済自由区域が暗礁に乗り上げている。
全国各道に1カ所ずつ8カ所も指定されたものの、このうちまともに事業が進められている所は1カ所もない。
約132兆ウォン(約11兆9000億円)を要する事業で、このうち10-15%は政府の予算で支援されるが、無関心のまま忘れ去られている。
専門家たちは、韓国の経済自由区域が出発さえできないまま、今やまな板に載せられて大規模な構造調整を受けない限り生存できないような状況にまで陥ってしまった、との見方を示している。
経済自由区域は現在、仁川をはじめとする8区域93地区から構成されている。
政府はこのうち今年に新たに指定された東海岸と忠北区域の計8地区を除いた6区域85地区について、昨年7月に評価を実施した。
その結果、11地区が事業不振、18地区が普通、47地区が良好、9地区は(判定)保留と評価された。
しかし、事態は政府が下した評価よりもはるかに深刻だ。
経済自由区域がここ10年間で誘致した海外資本は、この期間に韓国に入ってきた海外資本のわずか6%にすぎない。
海外資本の誘致特区が海外資本から敬遠されているのだ。
特に仁川(40億ドル=約4050億円)、釜山鎮海(15億5000万ドル=約1570億円)、光陽(8億5000万ドル=約860億円)を除いた残りの5区域は外資誘致が一切行われていない状況だ。
具体的な状況はさらにひどい。
例えば2008年に指定されたセマングム・群山の場合、4カ所のうち3カ所が良好との評価を受けたものの、指定から5年が過ぎた今年3月にようやく初の入居業者が決まっただけだ。
それさえも国内企業のOCIだが、それも当初の計画だった10兆ウォン(約9000億円)規模の太陽光関連の工場から1兆-2兆ウォン(約900億-1800億円)規模の熱併合発電所と新素材工場に大幅縮小された。
このように実績がないため、無理な投資協約と破棄が繰り返されている。
全羅北道は、2009年に米国の「オムニガード」という会社から3兆5000億ウォン(約3100億円)規模の外資投資を誘致した、と発表している。
ところがいざふたを開けてみると、同社は所在地である米国デラウェア州でわずか400ドル(約4万円)程度の法人税を10年以上も滞納しているペーパーカンパニーで、投資協約は結局白紙化されてしまった。
LG経済研究院のチョン・ソンテ研究員は
「海外資本の誘致などの実績を考慮せず、敷地造成具合などを見て評価を下すシステムを改善すべきだ」
と指摘した。
■黄海区域は10%しか残らない可能性も
それでも国内企業が進出した所は幸いだ。
国内からも無視された揚げ句、ほぼ捨てられたような状態で結局「指定解除」される所が数多いためだ。
代表的な所が平沢港を囲む「黄海経済自由区域」だ。
2008年に計5地区55.1平方キロメートル規模で指定されたものの、2011年にヒャンナム、チゴクの2地区が解除され、残った3地区も面積を大幅に縮小、15.8平方キロメートルだけが残った。
当初の計画に比べて28.7%の水準だ。
残った3カ所も風前のともしびといった状態だ。
その代表として「ポスン地区」の場合、地区内の「韓中地域」が今月7日に指定解除された。
開発事業者の選定にどこも参加しなかったためだ。
黄海区域は全体がこうした状況であるため、当初の計画に比べて10%しか残らないといった悲観的な観測が飛び交っている。
このように指定解除される可能性の高い地区は、計6区域85地区のうち11カ所に上る。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/30 08:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/30/2013063000117.html
韓国の経済自由区域が失敗した理由は?
(1).外国人「魅力がない」
「医療や教育などで規制…生活上の利便性に欠ける、減税も大した効果なし」
(2).地域の機嫌取りで共倒れ
選挙のたびに得票戦略として利用…地域の特化できず同じような事業が重複
(3).どこもかしこも投資誘致
外国人「韓国人はなぜ何度も来るのか、この前来たのは北朝鮮か」
経済自由区域の失敗は初めから予想されていたという指摘がある。
原因は大きく分けて三つだ。
まず一つ目は、外国人を呼び込むだけの魅力に欠けるという点だ。
医療や教育などの面で規制が多く、高所得層の外国人が生活するには利便性に欠ける上、
韓国市場そのものも小さく、外国人投資家たちに敬遠されているというのだ。
韓国政府が2009年、国内に投資した外資系企業1000社を対象にアンケート調査を行ったところ、政府によるインセンティブ(優遇措置)の提供が投資に影響を及ぼしたという回答はわずか13.1%にすぎなかった。
どんなに減税し、最先端の施設を設置してみたところで、
市場自体の魅力に欠け、生活環境が整備されていなければ、投資しないというわけだ。
狭い内需市場というもともと内包されていた限界のほか、病院を設立する際の資格制限といったサービス産業での規制、高い労働コストなど、根本的な問題が解決されなければ、外国人による大規模投資を引き出すことは難しい、と専門家たちは指摘する。
ところが政府は、根本的な問題に手を付けず、自由区域の造成だけに集中し、結局そっぽを向かれてしまった。
利害団体が規制緩和に反対したことも、外国人投資を阻害する主な要因となった。
二つ目は、事業のスタートそのものが選挙用だったという点だ。
経済自由区域はすでに6カ所が存在し、今年2カ所が新たに追加されたことで、全国の八つの道に経済自由区域が一つずつ設立されることになった。
数回の選挙を通じて、経済自由区域の対象になっていない地域をなだめるための単なる道具として利用されてきたためだ。
これは、全国8区域がそれぞれの特性を生かすことができないという結果をもたらした。
対外経済政策研究院が分析したところによると、多くの地区で先端産業や観光レジャー特化などを主張した結果、全地区の53%が他の地区と事業内容が重なってしまったのだ。
また、同じ地域内でも開発計画がバラバラになっていった。
大邱・慶北経済自由区域の場合、大邱、浦項、亀尾、永川、慶山の五つの地方自治体が全部で10地区に分けられている。
選択と集中を通じて力を合わせるべきだったのに、分散したことで全てが失敗してしまったのだ。
三つ目は、外資を誘致する上で対外的に統一された動きを示すことができなかった。
合同で投資誘致活動に当たり、外国人の立場から行きたい地域を選ぶことができるようすべきだったが、各区域がばらばらに誘致活動を行ったため、外資系企業を混乱させてしまったのだ。
地方のある経済自由区域の関係者は
「最近投資を誘致するために活動したが、参加した外国人から
『韓国はなぜ何度も来るのか。少し前に来た所はもしかして北朝鮮なのか』
との言葉まで聞かれた」
と吐露した。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/30 08:54
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/30/2013063000107.html
韓国の経済自由区域、外資誘致は10年で68億ドル
シンガポールは1年で640億ドル
至る所で事業中断…8区域全てが稼動せず
外資系企業で70%は埋めるという計画も、93%は韓国企業
今年で事業スタートから10年を迎えた経済自由区域が、完成を前にその姿を消している。
最先端の国際複合団地が建設されるべき場所には、苗が植えられ、釣り人たちのための池が今も残されている。
予定地には、途中で工事がストップしてしまった建物が見受けられる。
2020年の完成に向け拍車を掛けなければならないが、むしろ1カ所、また1カ所と事業を中止する地区が増えている。
仁川松島など8区域、101地区のうち、すでに8地区がストップし、11地区が政府から不十分との判定を受けるなど、指定を解除される可能性が高まっている。
全地区の約20%が、動き出す前から消滅してしまう状況だ。
導入から10年を迎えた今、経済自由区域はほとんど存在感が感じられなくなっている。
これまでの10年間で経済自由区域に誘致された海外資本は68億ドル(約6900億円)だ。
これは経済自由区域が当初モデルとしたシンガポールが2011年の1年間に誘致した海外資本640億ドル(約6兆4800億円)のわずか10分の1にすぎない数値だ。
外国人の投資を呼び込むために設置された経済自由区域が、全くその役割を果たしていないのだ。
このように外資系企業に敬遠されてしまったことで、経済自由区域は韓国企業で満たされるなど、全国に散在する一般の工業団地と何ら変わらない様相を呈している。
産業通商資源部(省に相当)の経済自由区域企画団が調査したところによると、現在経済自由区域に進出している企業の93%が韓国の企業だという。
70%以上を外資系企業で埋めるとしていた韓国政府の当初の方針とは大きな開きがある。
さらには、韓国企業からもそっぽを向かれ、指定解除に追い込まれる地域が続出している。
黄海経済自由区域「ヒョンドク地区」は、開発事業者だった中小企業中央会が今年3月、事業性がないとの理由から手を引いてしまったことで、白紙化される危機に直面している。
中央会は、全国1万5000社の中小企業に入居を打診したものの、申請の意向を示した企業はわずか5社にとどまったという。
■経済自由区域
2002年に当時の故・金大中(キム・デジュン)大統領が、韓国を「北東アジアのビジネス中心国」にすると宣言、その実行案の一つとして進められてきた。
2003年8月に仁川が第1地域として指定された。
さらに今年2月に江原と忠北が追加指定されたことで、これまでに八つの経済自由区域が生じている。
政府は2020年までに計132兆ウォン(約11兆9000億円)を投入し、八つの経済自由区域の造成を完了する計画だ。
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【「底知らず不況」へ向かう韓国】
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