2013年8月23日金曜日

韓国には9月危機説というのがあるらしい:弱点を強化した韓国、今回は盤石

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/23 11:27
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/23/2013082301278.html

9月危機説:外資の見方一変「韓国は危機克服の教科書」

 今月初め、東京郊外のある旅館に世界的に有名なプライベート・エクイティー・ファンドの幹部約10人が集まった。
 アジア市場に対する情報交換を行うプライベートな会合だった。
 そこに参加した格付け会社ムーディーズのアジア太平洋企業金融担当役員は
 「公的資金をつぎ込んだ『事後処方』式の韓国の構造調整を問題視する指摘もあったが、
 大半は
 『韓国は本当に成長した。安定かつ制度化された市場だ
との意見だった」
と会合の様子を語った。

 また、世界的なファンド関係者による別の会合に出席した金融業界関係者も
 「(外国のファンド関係者が)韓国の特定の財閥グループを指し、
 『持ち株会社制に転換したところ、以前のようにグループ企業1社が経営困難に陥ることで、グループ全体の経営が悪化することはなくなった。
 大きな変化だ。
 韓国はもう過去のように容易にのみ込める市場ではない』
と述べた」
と語った。

 「第3次金融危機」の兆しが見える中でも、韓国経済が堅実さを維持しているのは、1997年と2008年の経済危機を経験した過程で、経済の体質が強化された上、危機回復のノウハウを知っているからだ。

■新興市場から「先進新興市場」へ

 生まれ変わった韓国経済の姿は数値の上でも確認できる。
 米国の量的緩和以降、新興国の国債や公債には多額の資金が流入した。
 しかし、アジア開発銀行(ADB)の資料を分析すると、韓国の国債・公債に占める外国人の割合は約10%だ。
 インドやインドネシアに比べると3分の1の水準であり、日本(9%)並みだ。
 ムーディーズ関係者は
 「韓国経済が世界のホットマネーに左右される新興市場のレベルから脱したことを示しており、
 それだけ経済が堅実になったということだ」
と指摘した。

 韓国の外貨準備高は、2008年の世界的な金融危機当時の2396億ドルから現在は3297億ドルへと40%近く増えた。
 また、韓国経済のアキレスけんとされてきた短期対外債務の割合は、08年の52%から29%へと大幅に低下した。
 経常収支の対国内総生産(GDP)比率は0.3%(08年)から2.7%に上昇し、1年5カ月連続で経常黒字を維持している。
 金融危機が起きるたびに問題になった銀行の健全性も現在は合格点だ。
 金融監督院は
 「08年の世界的な金融危機のような危機状況を想定し、外貨流動性のストレステストを行った結果、6月末現在で国内の全ての銀行がテストに合格した」
と説明した。

 1997年の通貨危機当時、「大宇の没落」を指摘するリポートを出した日本の野村証券は最近、「中国の成長に影響されない韓国の成長」というリポートを出したほどだ。
 一部には韓国が第3次金融危機で最も恩恵を受けるとの見方まで示されている。
 JPモルガン関係者は「韓国は世界的な金融危機以降、5年間に成長性を失った代わりに安定性を得た。
 東南アジア地域に危機が起きた場合、資金の逃避先の一つとしての韓国を選ぶ余地が生じた」
と述べた。
 KB証券は
 「新興国から流出した資金が韓国に流入する可能性がある」
とのリポートを出した。

■韓国は「危機克服の教科書」

 韓国に対する世界の見方が変わり、企画財政部(省に相当)の幹部は
 「国際会議で発言しても、5年前とは反応が異なる」
と話した。

 同幹部は
 「国際通貨基金(IMF)、世界銀行、G20などでの韓国の発言権は、08年の世界的経済危機の克服に成功する過程で、先進国並みの水準へと高まった。
 最近2-3年は韓国のリスク要因に言及する国はない」
と述べた。

 世界の経済界、金融界の韓国に対する見方が変わったのは、1998年と2008年の経済危機を克服することに成功したからだ。
 「危機克服のノウハウを持っている」
との評価が相次いだ格好だ。
 許京旭(ホ・ギョンウク)元駐経済協力開発機構(OECD)代表部大使は
 「国際社会で韓国経済の回復力を高く評価する国が増えた」
と述べた。
 韓国資産管理公社(KAMCO)は今年5月、ADBと共同でベトナムなど東南アジアの新興国に不良債権整理のノウハウを伝えるセミナーを開き、好評を得た。
 このほか、預金保険公社、輸出入銀行には、企業支援、破綻企業のリストラのノウハウを提供してほしいという開発途上国からの要請が相次いでいる。
 KAMCOのチャン・ヨンチョル社長は
 「世界的に見ても、デフォルト(債務不履行)の危機を乗り越え、これだけ成功した経済モデルは韓国だけだ
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/23 11:16
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/23/2013082301222.html

9月危機説:弱点を強化した韓国、今回は盤石

 韓国経済の体力は明らかに変わった。
 新興市場に端を発する経済危機が押し寄せているが、韓国経済は過去とは異なり、波に巻き込まれることなく盤石だ。

 米国の量的緩和が9月にも縮小される可能性が高まり、新興市場に押し寄せていた外資が引き潮のように引き揚げられている。
 インド、インドネシア、ブラジル、トルコ、南アフリカなど新興市場では通貨価値が急落し、株価は下落、金利は上昇するという危機の兆しが表れ始めた。

 しかし、韓国経済はその他の新興市場国とは異なる。
 米国の量的緩和縮小が取り沙汰された今年6月以降、新興の主要12カ国・地域の株価、金利、為替レートを韓国と比較した結果、ウォンは中国の人民元を上回る幅で最も上昇した。
 また、国債利回りは0.54ポイントの上昇で、債券市場が活性化されている国・地域の中では台湾に次いで最も安定していた。
 株価はやや下落したが、下落幅は5番目に小さかった。

 特に外国人の資金動向を見ると、データが公表されている8つの新興国・地域(韓国、台湾、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、ブラジル)のうち、韓国に最多の16億ドルが純流入した。

 経済危機が起きると、必ず打撃を受けてきた韓国に対する扱いが今回は異なる理由は、韓国経済の基礎体力が強まったからだ。
 外貨準備高、短期債務比率、経常収支赤字など経済危機のために弱点とされた部分が大幅に強化された。

 このため、アジアの新興国で起きている金融不安は、韓国にはむしろ安定的な投資先としての立場を固め、景気回復の勢いをつけるきっかけになるとの分析も聞かれる。
 サムスン経済研究所のクォン・スンウ金融産業室長は
 「外国人の資金で株式市場や不動産市場を上向かせ、同時に産業投資など生産的な分野を活性化するためには、またとない機会になる可能性もある」
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/23 11:14
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/23/2013082301214.html

9月危機説:韓国の死角は「投資心理」と「家計債務」

 世界的な資産運用会社、フィデリティのマイケル・リード韓国代表は22日、本紙のインタビューに応じ、
 「最近外国の投資家が新興国の株式市場と韓国の株式市場を別扱いする動きが目立つ」
と指摘した。

 リード代表はその理由を
 「短期対外債務、外貨準備高などの面で、韓国経済の基礎体力が改善している上、資本流出を減らすための措置を既に取っており、為替の健全性も向上しおている。
 今回の事態(新興国の危機)が韓国の危機へと拡大する可能性は小さい」
と分析した。

 リード代表は
 「最近インドとインドネシアの金融不安で、再びアジア発の金融危機が起きるのではないかとの不安感が高まっているのは事実だ。
 韓国は基礎体力が丈夫なため、同じ文脈で心配する必要はない」
との見方を示した。

 JPモルガンのアジア担当チーフストラテジスト、タイ・フイ氏は
 「韓国は経常収支の黒字を計上し続けており、外国の投資家は他の新興国とは別の見方でとらえている」
と述べた。
 韓国は経常収支が1年6カ月連続で黒字となっている。

 バークレイズのアジア担当チーフエコノミスト、ワイホ・リョン氏は
 「韓国経済は上半期はやや困難に直面したが、下半期は米国の景気回復、韓国政府の財政支出拡大、造船業回復などで全般的に上半期よりは改善が見込まれる」
とした。

 3大格付け会社の一角、フィッチ・レーティングスは同日、韓国の信用格付けを「AAマイナス」に据え置くと発表し、
 「韓国経済はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が良好だ」
と理由を説明した。

 しかし、韓国経済には依然として脆弱(ぜいじゃく)な部分があると指摘も聞かれた。
 リード代表は
 「投資で重要なのは投資心理だが、
 韓国経済の基礎体力が相対的に優れているという事実がその威力を発揮できず、
 (他の新興国と)同じ扱いを受ければ、韓国も危機に直面しかねない
と懸念した。
 フイ氏は
 「韓国は家計債務のせいで内需に伸びしろが小さいことが弱点だ」
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/23 11:12
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/23/2013082301209.html

9月危機説:体質改善に向けた韓国の課題

 「9月危機説」が新興国を中心に広がっているが、体質が強化された韓国にとっては、9月は転換点となるチャンスを秘めている。
 9月危機説とは
 米国が量的緩和を9月に縮小した場合、新興国から外国人の投資資金が急激に引き揚げられ、株価と通貨価値が暴落するとの見方だ。

 まずは、遅々として進まない経済改革の課題を迅速に解決すべきとの指摘が相次いでいる。

 短期的に求められるのは、9月の定期国会で処理すべき経済活性化関連法案だ。
 尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)元企画財政部(省に相当)長官は
 「不動産市場を回復させ、不振な企業投資に活力を吹き込むためには、当面必要な法案の処理から急がなければならない」
と主張した。
 外国人投資促進法、住宅を複数保有する人への譲渡税重課税廃止、分譲価格上限制の柔軟な運用措置などを盛り込んだ税法の国会での成立が急がれる。

 また、政府系企業と家計の債務、建設・海運など一部業種の構造調整問題も早期に決着が必要だ。
 金融持ち株会社の役員は
 「海外で借り入れを行う際、韓国の家計債務や政府系企業の負債について尋ねられることが多くなっている」
と述べた。

 福祉ポピュリズムに対抗し、財政の健全性を守るべきだとの声も根強い。
 19兆ウォン(約1兆6700億円)の追加補正予算を編成するため、国内総生産(GDP)に占める政府債務の割合は、今年は36%に達する見通しだ。

 政府が推進しているサービス産業先進化、投資活性化プランも目に見える成果が求められている。
 急速な高齢化とそれに伴う低成長に直面している韓国経済が活気を取り戻すためには、経済の体質改善が急がれる。
 元経済閣僚は
 「韓国経済の懸念材料は短期的な危機対処能力ではない。
 内需を回復し、女性、高齢者、青年を労働に参加させるための経済の体質改善が10年以上できていない。
 そうした部分の体質改善作業から急ぐべきだ」
と指摘した。



ロイター 2013年 08月 23日 16:33 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97M04T20130823

焦点:動揺するアジア新興国通貨、韓国ウォンと台湾ドルは底堅い



[シンガポール 23日 ロイター] -
 米緩和策縮小が近付いているとの見方から市場が動揺する中、アジア新興国市場を専門とする投資家らは、韓国ウォンや台湾ドルは東南アジアの各国通貨に比べ堅調に推移するとみている。

 韓国や台湾は財政・経常収支の状況が優位であることに加え、ハイテク製品の輸出に強みを持っていることから、商品・原材料輸出への依存度合いが大きな東南アジア諸国よりも世界的な景気減速、特に中国景気の減速に対する耐性が強いためだ。

 実際、台湾ドルと韓国ウォンは、米連邦準備理事会(FRB)が年内の緩和策縮小の可能性を示した5月22日以降で、対ドルの下落幅は1%未満にとどまっている。

 対照的に、インドネシアルピアは同日以降で10%下落。
 マレーシアリンギは9%下落、
 タイバーツは7%下落している。

 ウエストパックのシニアFXストラテジスト、ジョナサン・ケーブナー氏は
 「ウォンと台湾ドルは現時点で比較的安全に見える
と指摘。
 資金の流れは東南アジアから北東アジアに向かっていると付け加えた。

 当局の統計データも同じような傾向を示している。

 台湾では7月の資金流入額が28億米ドルとなり、前月の資金流出額30億米ドルの大半を取り返した。
 外国人投資家は8月に入り、台湾株を幾分売却しているが、大幅な売りとはなっていない。

 韓国株式市場では、外国人投資家からの資金流入額が7月に12億ドルとなり、8月1─21日でも6億5400万ドルの流入となっている。
 しかも、7月のデータは韓国総合株価指数(KOSPI)とコスダック指数(KOSDAQ)に関する額となっているものの、8月のデータはKOSPIに関する額のみ。
 完全に比較可能なデータは9月上旬に公表される予定だ。
 韓国債券市場に対する外国人投資家からの投資は7月に6カ月連続で拡大した。

 対照的にインドネシアやマレーシア、タイでは、7月と8月も資金流出超となった。
 インドネシア株式市場.JKSEでは、7月から8月21日までに外国人投資家が5億8100万ドルの資金を引き揚げた。
 ただ、6月末以降で債券保有は3億7100万ドル積み増した。
 同期間を見ると、外国人投資家はマレーシア株を11億ドル売却、タイ株.SETIを9億5500万ドル売却した。
 また、タイ債券市場協会のデータによると、7月から8月16日までの資金流出額は7億4800万ドルに上った。

<良好なファンダメンタルズ>

 東部証券(ソウル)の通貨・債券アナリスト、ユナ・パク氏は
 「アジア通貨のファンダメンタルズは全て悪いように見えるが、
 ましな通貨を選ぶとすれば、
 いくらかの資金流入に支えられているウォンと台湾ドルだろう
と語る。
 イーストスプリング・インベストメンツの投資ディレクター、ニコラス・フェレス氏も
 「韓国ウォンは依然として安い」
と指摘する。

 一部ファンドマネジャーは、韓国経済や同国株式市場の先行きを楽観視している。
 JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、ジェフ・ルイス氏は、韓国の第2・四半期国内総生産(GDP)が約2年ぶりの高い伸びとなったことに触れ、
 「最新のGDPデータは、景気が安定化していることを示唆している」
と指摘。
 ソウル株もその他のアジア新興国株式市場に比べ割安に見える、と述べた。
 トムソン・ロイターのデータによると、韓国株の予想株価収益率(PER)は9.4倍となっている。

 地政学的リスクや、一部大財閥のコーポレートガバナンス(企業統治)をめぐる懸念から、韓国株はディスカウントされた水準で取引されることが常だが、イーストスプリングのフェレス氏は売られ過ぎだと指摘する。

 同氏は、世界的に見て、PERが10倍を下回れば割安な市場だとの認識を示した。

( Jongwoo Cheon記者 執筆協力 Viparat Jantraprapaweth, Orathai Sriring in BANGKOK, Choonsik Yoo, Vincent Lee in SEOUL and Lin Miao-jung in TAIPEI;翻訳 川上健一;編集 吉瀬邦彦)



朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/30 09:47
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/30/2013083000811.html

「韓国は新興国危機の勝者」 世界の見る目が変わった

 韓国経済に対する世界の見る目が変わっている。
 韓国はかつて、世界的な金融危機が発生するたびにドルが急速に流出し、危機の渦中でもがいていた国だった。
 外国の金融機関やメディアは、危機が起こると決まって韓国を被害国に挙げた。
 だが、近ごろ米国の量的緩和縮小の動きにより「第3次金融危機」の兆しが見える中、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルや米ブルームバーグなどの海外メディアは
 「韓国が新興国のうちで最も(経済状況が)堅実だ」
と韓国を褒めそやしている。
 英金融大手HSBCや野村証券など世界的な金融機関も「(新興国のうち)韓国の証券市場が最も魅力的」と評価している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは28日(現地時間)、JPモルガン関係者の言葉を引用し
 「ドルに対する新興国の通貨価値が暴落している状況でも、一部の新興国はしっかり持ちこたえており、その代表的な国が韓国だ」
と報じた。
 韓国を新興国危機の「勝者」と評し、
 「韓国は過去の金融危機の際には新興市場が崩壊する場所だったが、今回の危機には比較的影響を受けていない」
と伝えた。
 また
 「2度の危機(1997年、2008年)を経て、韓国は金融システムの最大の弱点が短期対外債務であることを把握し、これをしっかり管理した」
と評価した。

 同紙は特に、韓国政府が危機に備え、ホットマネー(投機目的の短期資金)の出入りを鈍らせるため必要な措置を取ったと評価した。
 6月末現在、韓国の外貨準備高に対する短期対外債務の割合は36.6%で、80%に迫っていた08年に比べ大幅に低下している。
 HSBCの為替専門家も「韓国はアジアで(海外からの借入金の)償還期間を延長するのではなく、借入を減らしている唯一の国だ」と評した。

 これに先立ち、22日(現地時間)には米経済専門局CNBCが
 「新興国の金融危機が浮き彫りになる中、インドやインドネシアが投資先として不適切な国だとしたら、韓国や台湾などの条件は良好だ」
と報じた。
 この報道で、AMPキャピタル・インベスターズのチーフ・エコノミスト、シェーン・オリバー博士は
 「経常収支が黒字で財政赤字が少ない国は、今回の混乱をうまく切り抜けられるだろう。
 韓国や台湾がこうした国(地域)だと言え、ほかの国は無視しても構わないだろう」
と述べた。
 同じ日、野村証券は台湾と韓国の証券市場に対する投資を増やすよう投資家に勧告した。
 ブルームバーグもHSBC関係者の言葉として
 「新興国の証券市場が崩壊の真っただ中にある中、韓国と中国の証券市場が最も魅力的だ」
と報じた。

 また、21日には経済データ分析会社のムーディーズ・アナリティックスが
 「上半期に予想を上回る国内総生産(GDP)成長率を記録した韓国経済は、良好な財政状態や大規模な外貨準備高などを考慮すると、(米国が量的緩和を縮小しても)下半期から成長スピードが加速するだろう」
との分析を示した。
 円安が続いたとしても、韓国は13年に2.6%、14年に3.6%、15年に3.9%と毎年成長率が上昇すると見込んでいる。
 ロイター通信は
 「米国の量的緩和縮小の懸念で多くの新興国が資金流出と通貨安で苦戦しているが、韓国はその影響をさほど受けないだろう」
と報じた。

 短期対外債務の適切な管理だけでなく、着実に経常黒字を出していることも、危機的な状況の中で韓国経済が良い評価を受けている大きな理由だ。
 韓国銀行(中央銀行)は29日、7月の経常収支は67億7000万ドル(約6660億円)の黒字で、1年6カ月連続で黒字を計上したと発表した。
 同行のチョン・ヨンテク経済統計局長は
 「米国が量的緩和縮小の動きを見せる中でも、(韓国はほかの新興国と違い)外国人投資家による資金の引き揚げが起きていない。
 このままいけば、今年は過去最大となる530億ドル(約5兆2100億円)の経常黒字を達成できるだろう」
と見通した。
 韓銀によると、外国人投資家は7月に韓国の株式と債券を買い越したのに続き、8月も23日までで9億ドル(約890億円)の株式と16億ドル(約1570億円)の債券を購入した。


ニューズウイーク 2013年8月19日(月)15時59分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2013/08/post-3016.php
by アンソニー・フェンソム

回復に実感なし、韓国経済に潜むリスク
予想以上の経済成長を遂げているのに、企業と消費者の間で不安が消えない理由とは
[2013年8月 6日号掲載]


●根深い不安 買い物客でにぎわうソウル市内だが、韓国全体の消費者心理指数はアジア平均の半分 Chung Sung-Jun/Getty Images

 「アベノミクス」で経済が好転しているにもかかわらず、給料が上がらない、景気回復を実感できない──。
 そう嘆く日本人と同様に、韓国でも経済の動きと消費者心理には乖離がある。

 韓国銀行(中央銀行)が先週発表した今年第2四半期のGDP成長率は市場関係者の予想を超え、過去2年間で最も高い2・3%(年率、前年比)になった。
 個人消費と政府支出の拡大により、四半期ベースでは前期比で1・1%の伸び。
 金融情報サービスのブルームバーグがエコノミストの予想値を平均した0・8%を上回った。

 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、ルイ・ラムとレイモンド・ヤンは今回の発表について、
 韓国最大の貿易相手国である中国の経済成長が鈍化しているにもかかわらず「堅調だ」とみる。
 「韓国経済は景気の底を打ったようだ。
 今年下半期は、アメリカ市場の回復や補正予算の実行で、緩やかだが成長率はさらに改善するだろう」
と、2人はANZのリポートの中で分析している。

 韓国政府も景気刺激の波に乗っているようだ。
 追加予算を含めた政府支出は、155億ドルと前期比で2・4%増加。韓国銀行は、財政と金融刺激策により14年の成長率は4%に達すると予測する。
 「今回の経済指標からすると、追加的な金融緩和を求める声は弱まり、韓国銀行は金利を上げるだろう」
と、韓国・東洋証券のアナリスト、イ・ジェヒュンはブルームバーグに語っている。

■改善しない消費者心理

 だがその一方で、韓国の企業や消費者はいまだ景気回復を実感できないでいる。

 大韓商工会議所が行った調査によれば、9割の企業が「経済の見通しは明るくない」と感じている。
 調査対象の企業の87%は、売り上げ不振や、注文と利益の減少から景気回復を実感できていない。
 さらに3割近くの企業は今年下半期にさらに景気が悪くなるとみており、景気改善を見込んでいるのはわずか2割だけだった。

 消費者も先行きには悲観的だ。
 消費者市場などの調査を行う米ニールセン社の調べによると、
 韓国の消費者心理(指数)はアジア平均の半分でしかない。
 韓国の消費者のうち9割は雇用情勢に、8割は消費に対して悲観的な見方をしているという。
 ニールセン・コリアのシン・ユンヒは、
 「消費者心理は中国や日本、アメリカで徐々に回復している
と言う。
 「韓国では厳しい雇用情勢や、多くの世帯で家計が苦しくなっていることから、今のところ改善の兆しは見られない

 OECD(経済協力開発機構)で事務総長の金融部門特別アドバイザーを務めるエイドリアン・ブランデル・ウィグナルは訪問先のオーストラリアで、円安が韓国や中国、台湾などほかのアジア諸国の経済に打撃を与え続けており、ドル高が始まれば状況はさらに悪くなると話した。

 またオーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー誌の取材に対して、
 「円安がさらに進み、アメリカの景気回復と金利上昇でドル高になれば、アジアにとってダブルパンチだ」
とも語っている。

 もう1つの不安要素は、北朝鮮との関係悪化だ。
 両国は先週、開城工業団地の操業再開をめぐる6度目の南北実務協議を行ったが、結局、議論は平行線に終わった。

 朝鮮半島情勢がまたしても緊張するような事態になれば、韓国経済は円安、ドル高に加えて北朝鮮というトリプルパンチを食らうかもしれない。




【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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